金融

銀行で進む「脱窓口」 取引手数料引き上げ キャッシュレス新興勢力に焦りも (2/2ページ)

 各行が窓口取引の手数料を引き上げる背景には、超低金利の長期化で銀行の貸し出し業務の利ざや(貸出金利と預金金利の差)が縮小する中、窓口業務の負担を軽減させ、コスト削減や業務効率化を図る狙いがある。各行は支店の統廃合や人員削減を進めており、三菱UFJと三井住友が今年9月から銀行の店舗外にある現金自動預払機(ATM)を共通化するなど合理化の動きが目立つ。

 銀行には自らの“専売特許”だった決済や送金などの分野で新興勢力が台頭していることへの焦りもある。IT企業はスマートフォンのアプリで個人間送金が無料でできるサービスを提供しているうえ、ポイント還元などで利用者の囲い込みも図っており、メガバンク幹部も「本業のもうけを金融分野に投資しており、サービスでは銀行の先を行く」と舌を巻く。

 ただ、銀行には、中小企業や高齢者の多い地方などではまだキャッシュレス化が浸透していないという事情もある。「預金や融資の相談などは、やはり担当者に窓口で行ってもらう方が安心する」(地方商店店主)という声も多く、銀行の窓口サービスへの需要は根強い。

 銀行側は「窓口の人員を相談業務など別のサービスに重点配置して、利用価値を高める」と説明する。だが、これまで総合的な窓口サービスでつなぎ留めていた既存顧客をないがしろにすれば、顧客と銀行との距離はさらに遠のきかねない。銀行は地域や顧客ごとの特性に応じたサービスを提供できるかが問われる。(西村利也)

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