中小企業へのエール

電力体系づくり 相次ぐ災害、水素社会構築が不可欠

 9月の関東を直撃した台風15号は、日本社会の在り方を考えるきっかけにしないといけない。「陸の孤島」と化した成田空港での混乱は、最大1万5000人もの人が足止めされた。東京五輪を控えている日本で、鉄道や高速道路が寸断された際にどうすればいいのか。(旭川大学客員教授・増山壽一)

 千葉県や神奈川県を中心とした、停電、断水、猛暑で被災した人々の憔悴(しょうすい)しきった表情はもはや他人ごとではない。このような事態に、マスコミや自治体の一部には空港公団や東京電力の対応を非難し、要請だけを繰り返す姿を見るたびに、日本人の劣化を見るのである。

 どうすべきか。空港から出ようとする人が大勢いる中で、具体的な方法をすぐ取らなくてはならない。そのような時には、例えば自治体が空港周辺の住民に声をかけて、空いている自家用車、社用車で空港に行ってもらうような仕組みを作るべきである。白タクと見なされるか否かは、このような緊急時には意味がない。

 報酬を求めない前提で、しかし「お気持ちの相場観」は事前に作っておき、そのような車両には自動車税を軽減するなど、いつ事があっても対応できるような仕組み作りが早急に必要だ。それこそがおもてなしであり、助け合いである。

 今後、大規模自然災害は頻発するであろう。町中の電柱が倒れれば、その復旧に時間がかかるのは必定である。山間部や道路が断絶している地域においてはさらに厳しく、電柱を地中化するには時間とお金がかかり、地震などで地下にトラブルが起きれば、掘り返して修理するために多くの時間がかかる。

 やはり、原則と例外を逆転する電力システムを作らなければならない。大規模発電を前提にした送電網でなく、原則は地域、あるいは各家庭での発電給電を前提とし大規模送電は従として位置付けるシステムへの見直しである。

 夏場のエアコンは昼夜フル稼働することを考えると、容量10キロワット時、出力3キロワットの200万円程度の家庭用蓄電池でも、エアコン2台を連続運転するとわずか数時間でギブアップである。

 やはり、各家庭、各地域に水素貯蔵タンクがあり、水素で発電する水素社会の構築が不可欠である。水素自動車なら、60キロワット時×3の容量と出力9キロワット×4の電気が発電される。また水素は、タンクの整備がされるとプロパンガスのように持ち運びができるのである。

 このような社会をゴールに見据えて、国、自治体、電力会社などが速やかにかじを切っていかないと日本の社会生活は危機である。

【プロフィル】増山壽一

 ますやま・としかず 東大法卒。1985年通産省(現・経産省)入省。産業政策、エネルギー政策、通商政策、地域政策などのポストを経て、2012年北海道経産局長。14年中小企業基盤整備機構筆頭理事。旭川大学客員教授。京都先端科学大客員教授。日本経済を強くしなやかにする会代表。前環境省特別参与。著書「AI(愛)ある自頭を持つ!」(産経新聞出版)。57歳。

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