テクノロジー

吉野氏ノーベル賞 リチウムイオン電池…未来の環境守る

 企業の競争力下支え

 今年のノーベル化学賞に、リチウムイオン電池を実用化した旭化成の吉野彰名誉フェローが選ばれた。リチウムイオン電池は、電子機器を大幅に小型化し、その普及に貢献してきた。平成26年に日本人研究者3人が物理学賞を受賞した青色発光ダイオード(LED)と同様、基礎技術を製品に落とし込むのが得意な日本の象徴的存在だ。(井田通人)

 リチウムイオン電池は吉野氏が実用化した後、ソニーが3年にデジタルビデオカメラを小型化する目的で初めて製品化した。その後は、ノートパソコンやスマートフォンといった携帯機器を中心に搭載。最近は電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の動力源としても欠かせないほか、太陽光発電で生み出した電気を蓄える用途でも需要が拡大している。

 もしリチウムイオン電池がなければ、これらの製品も普及しておらず、その社会的、経済的な影響は極めて大きい。

 吉野氏は会見で「(EVが普及すれば)巨大な蓄電システムができる。そこが環境問題への一番大きい影響だ」と述べ、リチウムイオン電池が今後も社会課題の解決に貢献していくと力説した。未来につながる技術であるとの自負がある。実際、各社は次世代リチウムイオン電池の開発でしのぎを削り合っている。

 調査会社の富士経済によると、リチウムイオン電池の世界市場は2022(令和4)年に17年比で2・3倍となる7兆3914億円まで拡大するとみられている。近年は、価格競争力に勝る韓国勢や中国勢に押され気味とはいえ、今もパナソニックなど日本メーカーが一定の世界シェアを堅持している。

 正極材や負極材といった主要部材も、日本が健闘している分野だ。旭化成などの日本メーカーは、正極材と負極材を隔ててショートを防ぐセパレーター(絶縁体)で他をリードする。

 EVメーカー、米テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は以前、パナソニック製電池を採用した自社モデルを「日本の心が組み込まれている」と表現して自画自賛したことがある。そこには日本のリチウムイオン電池の技術に対する尊敬の念が込められている。

 日本が実用化を主導する技術には、光触媒やカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)、超電導もあり、吉野氏に続く受賞が期待される。

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