ワークスタイル最前線

本場フィンランド式楽しむイベントも サウナを打ち合わせ空間に

 サウナがブームになっている。一人でじっと汗をかく場所というイメージが変わりつつあり、集中力を高める仕事場として活用されたり、フェスといった大規模イベントが開かれたりと楽しみ方は多様化する。愛好家は「サウナー」と呼ばれ、会員制交流サイト(SNS)で「ととのう」「熱波師」といった専門用語が飛び交う。熱気は増すばかりだ。

 愛好者は「サウナー」

 「各部署でどんな面白いアイデアが出せるかな…」。9月下旬の夜、横浜市の温浴施設「スカイスパYOKOHAMA」の館内に設けられた個室の会議スペース。コクヨ社員の川田直樹さん(34)はサウナに入りすっきりした後、館内着で同僚2人と打ち合わせをしていた。

 オフィスの空間づくりを仕事にしていた川田さんは、社内に「サウナ部」を設立するほどのサウナーだ。スカイスパの常連客で、普段から仕事のアイデア考案や同僚との親睦などにも使っていた。約2年前に施設側に仕事もできる空間をつくることを提案。昨年11月、フロアの一部を改修してオープンにこぎ着けた。

 1人でパソコン作業ができるブースや会議用のスペースがあり、いずれも追加利用料はかからず、サウナやレストランと自由に行き来ができる。これまで利用者は中高年の男性が中心だった。最近は20~30代の男女が増え、仕事で使う客も出てきている。川田さんは「集中もリラックスもできるサウナは、働く空間としても浸透していくはずだ」と期待する。

 心身が「ととのう」

 ここ数年、サウナを題材にした漫画やドラマが次々と登場し、これまでの愛好家以外にも人気の裾野が広がったことが背景にある。サウナーたちは、サウナと水風呂とを往復した後の恍惚(こうこつ)とした状態を「ととのう」と表現。ツイッターで「ここは(サウナが)高温で(心身共に)ととのった」など活発に情報発信している。

 サウナ室内に置かれた熱した石に水をかけ高温の水蒸気を発生させ、大きなタオルであおいで客に熱風を送り込む「熱波師」も注目を集める。

 9月の3連休。長野県の湖畔に計600人が集い、本場フィンランド式のサウナを楽しむイベントが開かれた。年々規模が拡大し、今年が4回目となった。参加者はまきをくべる伝統的サウナや、テントに煙突を付けまきストーブを置いて野外で楽しむテントサウナなど計19種類を満喫した。

 楽しみ方は入るだけにとどまらない。フィンランドのサウナに集う人々を描くドキュメンタリー映画「サウナのあるところ」が9月に日本で公開になった。本国での公開は2010年。映画を配給した「キノローグ」の森下詩子さんは「サウナブームが少しずつ盛り上がっているのを感じ『今だ』と配給を決めた」と話している。

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