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かつての主役、電機大手の存在感は薄れ…CEATEC

 15日に開幕した最新の家電・ITの展示会「CEATEC(シーテック)2019」は、初出展となる航空大手ANAホールディングス(HD)など例年以上に多彩な顔ぶれがそろい、新技術や新製品をアピール。「脱・家電見本市」が進む中、パナソニックが初めて単独出展を見送るなど、かつての主役だった電機大手の存在感低下が目立つ形となった。

 「グローバルに来場者、出展者が集う場を目指し挑み続ける」。開幕前のセレモニーでJEITAの遠藤信博会長はこう訴えた。

 シーテックの出展企業数は平成27年に過去最低の531社・団体まで低迷したが、翌年に脱・家電見本市を宣言して以降は今年で4年連続で増加。電機だけでなく、金融や建設、運輸などの業種に加え、大阪ガスなど関西企業も出展。国際化も加速し、海外からの出展は250社・団体と前年から44社・団体増えた。

 今回のテーマ「つながる社会、共創する未来」が示すように、今回は企業間の連携や協力が目立つ。例えば日立製作所は、自社の家電をソニーの犬型ロボット「aibo(アイボ)」とともに展示。冷蔵庫のドアを空けっぱなしにしていると、アイボが知らせるといったケースを紹介した。

 人を乗せて空を移動する「空飛ぶクルマ」では、川崎市高津区の電子部品メーカー、タイコエレクトロニクスジャパンが実物大模型を展示し、NECも試作機を配置。村田製作所は、吉野彰氏(旭化成名誉フェロー)のノーベル化学賞受賞で話題になったリチウムイオン電池に続くと見込まれる全固体電池を披露した。

 一方、12年の第1回から出展してきたパナソニックは「他の展示会に力を入れていく」として単独出展を見送り、複数企業が出展する区画に給電機器などを置く程度にとどめた。6年ぶりに復帰したソニーも、展示は医療分野に限った。経営再建中の東芝は、27年以降出展を見合わせている。

 今回の目玉で、2030年の街をイメージした「ソサエティー5・0タウン」も、中心を担うのはANAHDや建設大手。電機大手が未来社会構築の唯一の担い手とはいえなくなっている。(井田通人)

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