生かせ!知財ビジネス

顧客視点重視で“デザイン経営”継続

 嶋野特許技監に聞く

 特許庁の嶋野邦彦特許技監が就任3年目を迎えている。これまでの2年間と今後の抱負について聞いた。

 --就任時、“不易流行”(普遍的本質と変化を見極める)の姿勢で臨むといわれた。これまでの自己採点は

 「基本軸は変わっていない。自己採点は100点満点で赤点が59点以下として、60点だ。理由は、できていることとできていないことがあるからだ」

 --具体的には

 「宗像前長官の下、特許庁は多くの成果を上げることができた。新たにスタートアップ支援を開始し、標準必須特許問題ではライセンス交渉の手引書や標準必須性判断の判定制度を作ることができた。審査、審判とも従来の処理スピードを維持できている。施策を無難にやってきたという見方なら70点くらいか」

 --できていないこととは

 「本来的な役人としての仕事を十分できていただろうか。例えば、職員の育成、キャリアパスを作れたか。また、近年は(庁舎改修など)諸施策を進めている中で歳出が増えているが、本当にそれでいいかを見直さなくてはいけない。曲がりなりにも私どもはユーザーの方々の出願料、審査請求料、登録料で経営している立場だ。しっかりと脇を締めていく必要がある」

 --特に印象に残った仕事はあるか

 「特許庁の施策検討の際に、デザイン経営という新手法を取り入れたことだ。役人としてではなく、真にユーザーになったと自分を置き換え、徹底的にユーザーの視点を起点にして考えていくことを職員と一緒にやった」

 --21世紀に持続的成長をするには、ユーザーの価値観を訴求する価値創造メカニズムが重要とされ、知財戦略推進事務局も企業にデザイン経営を推奨している

 「そうだ。特許庁の組織の中にもいろいろな面でインパクトを与えた。さまざまな年次、立場の職員が一堂に会し、平等に意見を出し合い議論した。従来と違う考えやアイデアが出て非常に斬新だった。今後もユーザー視点を重視し、デザイン経営を庁内で進めていこうと思っている」

 --今後に向けた課題とは

 「われわれの本分である審査をしっかりやっていきたいと今、改めて考えているところだ。特許に限らず、意匠や商標の審査も全て、より正確に、スピーディーに、進めていくことを徹底したいと思っている」(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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