トヨタ自動車は16日、小型車「ヤリス」を来年2月中旬に発売すると発表した。国内では前モデルまで「ヴィッツ」という名称で販売してきたが、今回の全面改良で海外で使ってきたヤリスに統一する。燃費性能を向上させたほか、先進安全機能を充実させる。これまでのトヨタ車を上回る高度な駐車支援機能も搭載するなど、「新世代の小型車」として拡販を目指す。
ヴィッツの前モデルは2010年12月に発売されており、約9年ぶりの全面改良となる。商品力の向上と開発コスト削減の両立を目指して導入した車両開発手法「TNGA」に基づく小型車向けプラットフォーム(車台)を初めて採用するなど、主要な構成要素を全て刷新。車両を従来より50キログラム軽量化した。
燃費性能や価格などは、12月に改めて発表する予定だが、トヨタの吉田守孝副社長は「燃費は間違いなく、世界トップレベルだ」と強調した。
パワートレーン(駆動系)は、直列3気筒1.0リットルエンジン▽直列3気1.5リットル▽1.5リットルエンジンなどによるハイブリッドシステム-の3種類。トランスミッションには無段変速機(CVT)と6速マニュアルを用意した。1.5リットルのエンジン車とハイブリッド車(HV)には四輪駆動も設定している。
トヨタが複数の予防安全機能をパッケージ化した「トヨタ・セーフティ・センス」を標準装備。衝突回避や被害軽減につながる自動ブレーキに関しては、同社で初めて、右折時の対向直進車や、右左折後の横断歩行者も検知対象とした。
高度駐車支援システムは、ハンドルだけでなく、アクセルやブレーキも制御。事前に駐車位置を登録することで白線のない駐車場でも使用できるようにした。この機能は世界初という。
トヨタの豊田章男社長は「小さくアフォーダブル(手頃な価格)だが、所有して誇らしい。そんな車に近付いている」と、ヤリスをアピールした。(高橋寛次)