トップは語る

東京ガス 低炭素化、LNGが再エネ補う

 東京ガス社長・内田高史さん(63)

 --液化天然ガス(LNG)の産出国と、消費国の関係者会合「LNG産消国会議」が先月下旬に開催された

 「今年で8回目だが、昨年までと比べて大きな違いを感じた。各国の政府関係者、特に、これからLNGを輸入していこうという新興国からの出席が大幅に増えた。以前は産出国と輸入国との立場の違いから対立構造が強かったが、新興国需要が拡大する中で、産出国も消費国もLNG産業を拡大させていくのに、どう努力していけばいいかという方向に議論の重心が移っていった」

 --LNG産業の今後50年をどうみるか

 「過去20年間で、燃料の転換が進んだ。石油や石炭のウエートが減少し、LNGが拡大してきた。低炭素、脱炭素の動きが強まってくるが、低炭素という点では天然ガスには十分余地がある。再生エネルギーとLNGや天然ガスの組み合わせも必要になっていく。太陽光発電などの再生エネは天候によって発電量のぶれが生じる。蓄電池を活用しての対応という手法もあるが、再生エネの不足分のバックアップとして、ガス火力発電でカバーしていくべきだ。低炭素を進めるのには、再生エネだけでなく現実解が必要。その一つが天然ガスだ」

 --サウジアラビアの石油設備が攻撃を受けた

 「中東からのガス調達は全体の2%程度にとどまっており、調達について特に不安は感じてはいない。しかし、LNG価格は原油価格と連動するため、大きな影響を受ける。油価連動だけでなく、価格指標の自由化も進めていくことが重要だ」

 --エネルギー価格の競争が激しくなると予測される

 「まずはLNGの調達価格を引き下げることだ。購入契約の更新時期などに引き下げに取り組んできたし、輸送コストの低減なども進める。スポット市況が安いこともあり、それらをうまく活用していく」

                   

【プロフィル】内田 高史

 うちだ・たかし 東大経卒。1979年、東京ガス入社。総合企画部長、常務執行役員、副社長などを経て2018年4月から現職。千葉県出身。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus