「100円でも品質は下げない」(竹内氏)ために、手を付けたのが「商品数」だ。以前は、各地域の工場で25~26種類のおにぎりを製造していたが、その数を15種類に絞った。製造するおにぎりの種類が変われば、製造ラインの部品などを入れ替える作業が発生する。そのロスを削減することで、「同じアイテムを1.5~2倍作り続けることができるようになった」(同)。品数は減ったものの、製造効率が向上した。
販売個数は2倍に 売れ筋には大きな変化
では、実際に「おにぎり100円」にはどのくらい効果があったのか。7~8月の2カ月間で、おにぎりの販売個数は前年同期比2倍に増加。「9月はさらに好調に推移した」(竹内氏)という。おにぎりの最需要期である8月に合わせて施策を開始したことも追い風になった。大幅な値下げになった商品もあるものの、1店舗あたりのおにぎりの売り上げは50~60%増えたという。
また、おにぎりと一緒に買う商品点数も増加傾向にある。例えば、以前は「おにぎり+サラダ」だったのが、「おにぎり+サラダ+ファストフード」に増える、といったイメージだ。調理麺や総菜などと一緒に購入するケースも多い。そのため、「おにぎりをキー(メイン)として買い物をする人の単価は伸びている」(竹内氏)
一方で、販売数が落ちた商品もある。おにぎり2~3個がパックになった商品だ。おにぎり単品を100円で買えるため、お得感が少ないと思われているのかもしれない。手巻きずしやサンドイッチも「想定内だったが、影響を受けた」(同)。その一方で、店内調理の「手作りおにぎり」(160~170円程度)の販売にはほとんど影響がなかったという。
そして、今回の施策は、おにぎりの「売れ筋」も一変させた。
これまでのおにぎりの売れ筋は、不動の1位が「ツナマヨネーズ」だった。その次に「紅しゃけ」「昆布」「梅」が続いていた。それが「おにぎり100円」開始後は大きく変わった。1位が「紅しゃけ」になり、次に「ネギトロ」、その後に「辛子明太子」「ツナマヨネーズ」と続く。