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セブン、成長頭打ちに危機感 時短決断 社会構造変化へ対応急ぐ

 セブン-イレブン・ジャパンが、時間短縮営業の本格実施に踏み切ることになった。背景には、市場飽和と人手不足でコンビニ事業が頭打ちとなり、前例踏襲のやり方では成長を維持できないことへの危機感がある。今月10日には既存店のてこ入れ策も公表した。矢継ぎ早の施策で、コンビニを取り巻く構造変化への対応を急ぐ。

 「お客さまのニーズがあれば24時間営業をすることが望ましい。ただ、人手不足でやりたくてもできない店もある」

 永松文彦社長は21日の記者会見で、時短営業の容認が苦渋の選択であることをにじませた。

 セブンは24時間営業のビジネスモデルで業界首位の座を盤石にした成功体験から、コンビニ大手3社の中で時短営業に最も後ろ向きだった。しかし今年2月、大阪府東大阪市の加盟店が独自に時短営業に踏み切ったことをきっかけに、オーナーの労働環境に厳しい目が向けられた。経済産業省が問題是正の行動計画策定を各社に求めるなど「外圧」も加わり、次第に受け入れざるを得なくなっていた。

 希望する加盟店に時短営業の選択肢を用意しつつ、セルフレジ導入などの省人化で24時間営業維持も支援する両にらみの戦略で人手不足を乗り切りたい考えだ。

 右肩上がりの成長を続けてきたコンビニ事業が曲がり角を迎え、いや応なく変革を迫られている側面も強い。セブンは7月、チェーン全体の売上高が9年4カ月ぶりに前年割れし、9月には国内店舗数も前月比で5年ぶりの減少に転じた。

 今月10日に公表した既存店てこ入れ策では、不採算店舗の閉鎖や立地移転などの見直しを約1000店で行うと説明。加盟店が本部に支払うロイヤルティーの減額も打ち出した。ロイヤルティーの減額は本部収益の減少に直結する。業界では、身を切って加盟店との関係を強化し直す覚悟の表れと驚きを持って受け止められた。

 セブンが属するセブン&アイ・ホールディングスは、イトーヨーカ堂とそごう・西武で計約3000人の人員削減を含む大リストラを予定する。社会の変化に対応できず「花形」の座から転落した、これら総合スーパーや百貨店の二の舞いを避けられるのか。グループの大黒柱として収益を支えるコンビニ事業はつまずくことが許されない。

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