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日立金属、海外生産比重高める 希土類磁石 国内複数閉鎖へ

 日立金属は、中核事業に位置付けるレアアース(希土類)を材料に使う磁石などの需要回復が見通せないため、この磁石を生産する複数拠点を閉鎖すると発表した。国内拠点が対象とみられる。産業用機械の需要減の長期化が見込まれており、コスト圧縮を図る。残る拠点も統合を検討し、中国やフィリピンといった海外生産の比重を高める。管理職などを対象に希望退職を募集する。

 米中貿易摩擦の余波などで世界経済の先行きが不透明になる中、企業による投資の手控えが事業を直撃した形だ。希土類磁石を生産するグループ国内拠点は埼玉、兵庫の両県に1カ所ずつ、佐賀県に2カ所ある。有価証券報告書などによると、4拠点の従業員数は計700人超。日立金属は「閉鎖拠点の具体名は言えない」としている。佐藤光司社長ら経営陣は、経営責任を明確にするため役員報酬の一部を返上することも決めた。

 希土類磁石はモーターに広く使われている。電気自動車(EV)市場の成長を見据えて事業展開を図ったが、需要の伸び悩みに加え、納入価格も低迷しているという。

 日立金属は今回の措置に伴い、2019年9月中間連結決算に425億円の減損を計上。最終損益は前年同期の281億円の黒字から409億円の赤字に転落した。

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