メーカー

日立・ホンダ車部品4社統合 次世代技術に対応、相乗効果狙う

 日立製作所とホンダは30日、それぞれの傘下の自動車部品メーカー計4社を合併させると発表した。電動化や自動運転などの次世代技術への対応を迫られる中、合併で各社の強みを統合し、相乗効果の発揮を狙う。世界的に激化する開発競争での生き残りを図る。日本の部品メーカーは、自動車会社の「系列」に入って安定的な事業運営を行ってきたが、自動車業界が変革期を迎え、競争力強化を優先して関係を見直す動きが活発になっている。

 4社は、日立の完全子会社である日立オートモティブシステムズ(茨城県ひたちなか市)と、ホンダが筆頭株主のケーヒン、ショーワ、日信工業。新会社には日立製作所が66.6%、ホンダが33.4%を出資する。30日に基本契約書を提出した。

 4社の2019年3月期の売上高を単純合計すると1兆7964億円。国内の自動車部品業界では、トヨタ自動車系のデンソーやアイシン精機に次ぐ事業規模となる。

 ホンダが傘下の3社を株式公開買い付け(TOB)によって完全子会社化した上で、日立オートモティブシステムズを存続会社として4社が合併する。

 日立オートモティブシステムズのプレジデント&最高経営責任者(CEO)を務めるブリス・コッホ氏は30日、東京都内で開いた会見で、「4社の統合で規模が生まれるだけでなく、先端的な技術を組み合わせることができる」と強調。具体的には、電動車のパワートレーン(駆動系)や自動運転・先進運転支援システムなどの開発に、各社の強みを生かすことを想定しているという。

 優れた次世代技術を開発することの重要性が増す中、海外ではロバート・ボッシュやコンチネンタルなどの「メガ・サプライヤー」が台頭。これに対抗するために、事業統合や合併で競争力を強化する動きが顕著だ。

 日産自動車の系列で最大手だったカルソニックカンセイは、日産が米系ファンドに売却した後、欧米自動車大手フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)系の部品会社と合併。10月から「マレリ」という社名となり、日産以外の自動車メーカーとの取引が相対的に増えた。系列との結束が強いトヨタも4月、同社とデンソーの主要な電子部品事業をデンソーに集約することで合意した。

 日立製作所の小島啓二副社長は会見で、「自動車メーカーがサービス事業に乗り出す中で、(新会社の)事業は、大きく変わり、もっと上位のレイヤー(層)にも伸びていく」と、自動車業界の変革に商機があると強調した。かつては他社との協業に慎重だったホンダは、「これまで培ったパートナーシップのワクを超えて新たなフォーメーションをつくる。相手を選択せず、必要があれば提携を考えていく」(貝原典也常務執行役員)と説明した。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus