金融

日米金利差縮小でも進まない円高 背景に底堅い米国景気 日本の経済構造変化

 日本銀行が31日の金融政策決定会合で政策金利を据え置いた一方、米連邦準備制度理事会(FRB)は3会合連続の利下げを決めた。一般的に米国が金利を下げて日本との金利差が縮小すれば、投資家は運用益の低下からドルを売り円を買い求めるため、円高ドル安に振れるとされる。「口先緩和」を繰り返す日銀の黒田東彦総裁の念頭にもこうした懸念がある。しかし、最近は日米の金利差が縮小しているにもかかわらず、急速な円高は進んでいない。31日の東京外国為替市場の円相場もほぼ横ばいだった。なぜなのか。

 「為替相場は、その時々の経済や市場環境が決め手になる」。三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩シニアストラテジストはこう指摘する。実際、1990年以降でFRBが利下げに動いた5回の局面のうち、円高ドル安が進行したのは3回にとどまる。

 今回の米国の利下げ局面には米景気が堅調な中で行われた「予防的」な側面があった。市川氏は「米景気の拡大期はドルの価値が高まる側面もあり、利下げしてもドルは下がりにくい」傾向があるとの見解を示す。

 一方、輸出で稼いでいた日本の経済構造がこの10年で大きく変化したことも影響したと見る向きがある。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は90年代に10兆円前後の黒字があったが、近年は赤字になることも珍しくない。

 みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミストは「貿易黒字なら輸 出企業は稼いだ外貨を円に換える必要があるため、円買い、外貨売りに直結するが、現状は異なる」と話す。現在、日本の外貨の稼ぎ頭は海外投資に移った。米国債などの運用益を日本に持ち帰らずドル建てで再投資するケースが多いとされ、円買いドル売りの取引は以前ほど活発でなく、円高に振れにくいという。

 また、足下での米中貿易摩擦の緩和を受けた安心感や、現状でも運用益が比較的大きいドルの優位性が維持されていることも円売り・ドル買いを後押しする材料とされる。(西村利也)

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