現場の風

MS&ADホールディングス 近未来の保険にらみハイテク投資

 □MS&ADホールディングス 総合企画部イノベーション室長・塩野諭さん(54)

 --イノベーション室の役割は

 「保険とITの融合である『インシュアテック』を中心としたテクノロジー情報をグループ内に提供することや、それを担うスタートアップ企業をグループ内の事業会社と結び付け、シナジーをもたらすことが役割だ」

 --昨年10月に米シリコンバレーにコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を設立した

 「最初は45億円規模の投資業務を始め、今年7月に90億円の追加投資を決めた。1年足らずでスタートアップ企業20社強に投資しており、そのスピード感は現地でも注目されている。日本の保険会社で自らCVCを運営している会社はなく、ここから得た学びをいかに活用するかがわれわれのアドバンテージを生かせる部分だ」

 --どのような技術分野に投資をしているのか

 「3~5年先の保険業界の変化に対応する変革領域を探して投資をしている。例えば、サイバー攻撃リスクを防止・軽減する技術や、スポーツやレジャーなど必要な時間だけに限定してかけられる『オンデマンド(需要に応じた)保険』に関わる技術だ。保険業界で大きな課題となる天候分野では、20年先の気候変動リスクを定量化できる技術を持った企業にも投資している」

 --大手企業によるスタートアップ企業の提携や囲い込みが激化している

 「日本の大手企業はスタートアップのような中小企業を上から見る傾向があるが、スタートアップとは対等な共存関係を築かないと企業は育たない。スタートアップは大企業の色がつくのを嫌がるので、常にオープンでないといけない。たとえ自社以外の企業と協力しようとも、そのスタートアップ企業の成長を応援するスタンスであるべきだ。技術を囲い込みたくなる企業が多い中、これはチャレンジングな取り組みだと思っている」

                   ◇

【プロフィル】塩野諭

 しおの・さとる 上智大外国語卒。1988年に住友海上火災保険(現三井住友海上火災保険)入社。MS&ADインシュアランスグループホールディングス広報・IR部長などを経て、2019年4月から現職。兵庫県出身。

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