人材サービス大手、パーソルキャリアが運営する日本初のハイクラス人材向けのキャリアプラットフォーム「iX(アイエックス)」は企業向けの1対1の対話「1on1(ワン・オン・ワン)」サービス「YEll(エール)」を運営するエールと業務提携し、新たな個人向けのコーチングサービス「クラウドキャリアコーチ」の提供を始めた。ハイクラス人材やハイクラスを目指す人がコーチとの対話で、キャリアの課題を整理し、自らの市場価値の向上を実現するよう支援する。
日本の労働市場は終身雇用が崩れつつあり、働く人ひとりひとりがキャリアや働き方について主体的に考え、自ら選ぶ時代に突入している。そうした中、一つの企業で経験を積むだけでなく、転職や副業、独立など様々な選択肢が存在し、自らのキャリア形成で悩む人も少なくない。パーソルキャリアの清水宏昭iX統括編集長は新サービスについて「1人では迷う時のパートナーとして使ってほしい」と訴えた。
コーチはAIが選出
コーチングとは、コーチ役の人が適切な質問を相談者に投げかけて対話を重ねることで、相談者の考えを整理したり、気づきを促したりして、個人や組織の目標達成を支援する手法だ。新サービスでは、毎週1回30分、計4回の電話によるコーチングを提供する。料金は4回セットで1万9800円(税別)。コーチングは、相性の良いコーチを見つけることが重要で、新サービスでは、エールの独自技術であるAI(人工知能)マッチングを用いて、相談者に適したコーチを2~4人選出。その中から、相談者はコーチを選択することができる。
コーチとの相性が悪い場合は、途中で変更も可能という。
コーチ役は、エールに登録している「クラウドサポーター」という人材が担当する。同サポーターは400人を超え、その70%が副業としてコーチングを行っている起業家や企業経営者、人事責任者らだ。
コーチングは1990年代ごろから米国を中心に広がり、その市場規模は米国だけでも1.2兆円といわれている。近年、日本でも従業員のモチベーション向上や上司と部下の関係構築などを目的としたコーチングを導入する企業が増えている。ただ、企業向けコーチングは人事制度の一環が多く、役員クラスが対象で、転職や独立の相談が難しい場合もある。また、従来の個人向けコーチングは、エグゼクティブ向けサービスが中心で、価格面でも気軽に利用することは難しい状況だった。
新サービスでは、キャリア戦略のパートナーを目指すiXと、企業向けコーチングを熟知しているエールが手を組み、これまでよりも手ごろな価格で個人向けコーチングサービスを提供し、戦略的なキャリア形成を支援していく。