ラグビーワールドカップ(W杯)で大活躍を見せてくれた日本代表。そんな日本大会を胸を熱くして観戦していました。私は学生時代にラグビーに燃え、高校時代は花園を経験したラガーマンです。日本代表の躍進の一つと感じるのは、リーチ・マイケル主将のリーダーシップです。(学校法人田北学院校長・つだつよし)
彼のリーダーシップがあったからこそ、奇跡とも呼ばれる大躍進が生まれたと確信しています。そして、そのリーダーシップは、ダイバーシティ(多様性)の時代には不可欠です。彼は一体何を行ったのか。決断力や統率力が素晴らしいのはもちろんですが、一番感銘を受けたのは、「合わせる」ことを意識したリーダーシップ。
ラグビーの代表資格は他競技と違い、外国人選手が多いのが特徴。そんな日本代表にリーチがまず行ったのは、国歌の練習、俳句作り、さざれ石の見学など、日本の文化を心に刻むことを行いました。一見するとラグビーとは無縁のように感じますね。実は、外国人選手の「日本になじめるか」「日本代表として受け入れてもらえるか」という心の不安を払拭し、「ONE TEAM」を目指すため、そして日本人選手の気持ちを合わせる作業を一番に置いたのです。
これは職場でのモチベーションマネジメントにも生かせます。部下のやる気を上げようとするとき、ついつい「やる気を出せ」と、いきなり火を付けようとしますが、残念ながらそれではなかなか火は付きません。最初にやることは、リーチのように「気持ちを合わせる」ことから始めるとスムーズです。
気持ちを合わせる。目標を合わせる。目標達成までの行き方を合わせる。人種や国籍、価値観、年齢が多様化する時代、昔のような上から縦のリーダーシップではなく、まずは相手と自分の気持ちを合わせ、たどり着くべきゴールをすり合わせ、行き方まで確認し合う。そうすることで、皆で正しい方向に動き始めます。そして日頃から気持ちを合わせることを意識するリーダーは、いざというとき、リーチ主将のように上からのリーダーシップでも効果を上げます。ダイバーシティ時代のリーダーシップは、上から下ではなく横と横をつなぐリーダーシップ。ぜひ、今日から意識していただきたいです。
【プロフィル】つだつよし(つだ・つよし) 1976年、大分県生まれ。学校法人田北学院校長。高卒後、吉本興業の門をたたき8年間芸人として活動。ある不登校児童との出会いから心理カウンセラーの資格を取得。現在は、大分テレビの教育番組のプロデュースなど教育事業を行うほか、講演家としても精力的に活動中。「全国・講師オーディション2015」で最優秀グランプリを受賞。