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ソフトバンクG「ぼろぼろでございます」 投資戦略に逆風、資金集め影響も

 ソフトバンクグループ(SBG)の投資戦略に逆風が強まっている。シェアオフィス「ウィーワーク」を運営する米ウィーカンパニーなど出資先の企業価値が下落し、2019年9月中間決算で約5300億円もの評価損を計上した。巨額マネーで急成長企業を取り込む投資会社としてのイメージが揺らげば、今後の資金集めにも支障が出る懸念がある。

 「ぼろぼろでございます」。6日の会見でSBGの孫正義会長兼社長はファンド事業で大幅な赤字を出した決算をこう表現した。

 6日のSBGの株価の終値は4322円。4月の年初来高値から約3割下落しており、孫氏が2月に「安すぎる」と言及し6000億円規模の自社株買いを発表する前の水準に逆戻りした。

 背景には投資先の不調がある。最大の火種となったのが共用オフィススペースを提供するビジネスモデルで急成長を遂げたウィーだ。9月に計画した新規株式公開(IPO)が創業者によるコーポレートガバナンス(企業統治)問題などで頓挫すると資金繰りが一気に悪化。SBGが総額1兆円の支援策を実施せざるを得なくなり、「投資の判断がまずかったことを大いに反省している」と繰り返した。

 ウィーの企業価値は一時470億ドルとも見込まれていたが、足元では78億ドル程度まで引き下がり、巨額の評価損を計上。7~9月期はほかにも米配車大手のウーバー・テクノロジーズの株価が3割近く下落するなど、投資先の企業価値の目減りが相次いだ。

 SBGは今や、運用額10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)」を事業主体とする投資会社だ。投資先の含み益の拡大を牽引(けんいん)役としてこれまで好業績を上げてきたが、一旦成長に逆回転がかかると損失が膨らむリスクが大きい。

 SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは「投資案件がすべて成功するとは誰も思っていない」と冷静な受け止めを口にする。だが、有望とみられていた投資案件が一転して苦境に陥ったことで、SBGの投資手法や目利きが疑われれば、今後の投資戦略の足かせとなりかねない。

 もっとも、こうした懸念に対し、孫氏は「ビジョン、戦略に変更なし。このまま前に進む方針だ」と強調した。SVFでは人工知能(AI)関連の世界のユニコーン企業(企業価値10億ドル以上の未上場企業)に2017年の設立以来90社に投資し、累計で約1兆2000億円の投資成果を上げており「反省して萎縮するほどまでではない」と語る。

 SBGは投資先の財務を独立採算とし、ウィーのような救済投資は行わないとの投資に対する指針を改めて明確にして、投資事業での再成長を狙うが、孫氏の手腕が問われる局面が今後も続きそうだ。(万福博之)

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