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「眠り」競うポケモンゲーム投入 睡眠ビジネスはいまや世界的潮流

 日本人の睡眠不足が問題になる中、先端技術を用いて睡眠の質を高める「スリープテック」と呼ばれるビジネスが活況だ。パナソニックはエアコンや照明などを連動させて快適な睡眠を実現するサービスを開発。人気ゲーム「ポケットモンスター」の関連事業を手がける株式会社ポケモンは、睡眠を楽しむゲームを来年に投入する計画だ。睡眠関連の市場規模は世界で約798億ドル(約8.6兆円)にまで膨らむとの海外調査もあり、異業種からの大手参入が相次いでいる。(林佳代子)

 働き方改革、「眠り」の質に注目

 薄暗い照明の下でベッドに横たわると、スピーカーから癒やし効果のある波の音が聞こえてくる。アロマ送風機も動きだし、室内にさわかやかな香りが漂う。加湿空気清浄機は湿度50%を維持し、エアコンは快適な温度を保つ。やがて眠りに落ちると、波の音が自然に途絶えた-。

 パナソニックが今年4月に東京・原宿に開設したショールームで披露している睡眠関連サービスのデモンストレーションだ。寝具大手「西川」(東京)と共同で、良質な眠りを提供しようと開発した。

 マットレスに体温や心拍数を測定するセンサーを組み込み、睡眠パターンを分析。照明やエアコンなどの家電と連携することで、眠りの状態によって部屋の明るさや温度を自動で調整する。就寝時に快適な眠りに誘うだけでなく、起床時の目覚めも良くする。今年中のサービスの立ち上げを予定している。

 家電や住宅設備に強みを持つパナソニックは、スリープテック事業を大きな商機とみている。原宿の拠点も協業可能な企業を呼び込む狙いで開設した。パナソニックの担当者は「働き方改革や健康経営といった時代のキーワードに対し、睡眠ビジネスは相性が良い。パナソニックだけで完結できないため、異業種と連携して事業の広がりを求めていきたい」と話す。

 「睡眠改善」で社員研修

 経済協力開発機構(OECD)の調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分で、加盟国では韓国に次いで短い。平成29年には寝不足によって仕事の生産性が落ちる「睡眠負債」が新語・流行語のトップテンに入るなど、睡眠時間の確保はもはや社会的な課題だ。

 一方、睡眠の改善につながるサービスや製品の開発は世界的な潮流となっている。

 世界最大の家電見本市「CES(セス)」では昨年、スリープテックの専用ブースが開設され、IoT(モノのインターネット)技術を活用した製品が多く展示された。

 近年は、社員の生産性向上を目指す企業などで「睡眠研修」を実施する動きも加速している。研修を請け負うベンチャー「ニューロスペース」(東京)は、過去数年間で数十社、1万人以上の社員を対象に睡眠障害などのデータを収集し、このデータをもとに睡眠を改善するプログラムを提供するサービスを始めた。

 「ポケモンスリープ」投入、寝る前にコーヒーも

 スリープテック市場では、一見して睡眠とは結びつきにくそうな業種からの参入も目立ち始めた。

 株式会社ポケモンは今年5月の事業戦略説明会で、睡眠を楽しむゲームアプリ「ポケモンスリープ」を来年に投入すると明らかにした。詳細は不明だが、ポケモンに登場するキャラクターと一緒に睡眠時間を計測しながら休息することを想定しているという。

 石原恒和社長は「朝、スマホを開いたらちょっとうれしいことが起きているようなサービスだ」と述べた。

 また、ネスレ日本は3月に店内にベッドやリクライニングシートを備えた「睡眠カフェ」を東京・大井町にオープン。寝る前にコーヒーを飲むと目覚めがすっきりするというコンセプトで、良質な睡眠を促す効能をアピールしてコーヒーの消費量を増やそうという狙いがある。

 30分~3時間の利用時間のうち、人気を集めているのが30分~1時間のコースだ。平日午後に数十分の仮眠を目的に来店するリピーターが増えてきたという。

 広報担当者は「想定を上回るペースで集客が進んでいる。ビジネスパーソン以外に学生の来店も多く、今後も幅広い世代に支持される店を目指していきたい」としている。

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