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三菱重工がH3ロケット“増強型”構想 米・月周回基地参加で必要に

 三菱重工業は12日までに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と開発する日本の次期主力ロケット「H3」に、重い荷物をより遠くまで打ち上げられる増強型を加える構想を明らかにした。米国が主導する月周回基地計画に日本が参加することになり、高度400キロの国際宇宙ステーションに物資を届ける補給船を、さらに遠くまで運ぶ必要が生じたためだ。

 H3ロケットは2020年度に運用を始め、21年度からはステーションに食料や電池などを届ける補給船「HTV-X」を運ぶ。これだけなら従来設計で足りるが、補給船が新たに「25年以降に月周回基地まで行く」との任務を負ったことで事情が変わった。

 ロケットは補給船をより遠くまで運んで切り離し、補給船は38万キロ先の月の周回軌道に向かう。ロケットは燃料の消費が増える分、重い荷物が積めなくなるため、補給船を2分割して別々に打ち上げる対応を検討中だ。だが宇宙で位置を正確に把握しながら補給船を合体させるには高度な技術が必要で、運用も複雑になる。

 補給船を分割せず1度で打ち上げるなら海外の大型ロケットを使う手もある。だが時間や費用がかかるのがネックだ。

 そこで浮上した案が増強型のH3ロケット。胴体を3本束ねたような形で、打ち上げ能力はほぼ倍になる。三菱重工は、25年には間に合わなくても30年までには開発できると見込む。人が乗る月面探査車などの重い機材や、大量の小型人工衛星を打ち上げる新ビジネスが開ける可能性もある。

 ただ、JAXAの佐々木宏・国際宇宙探査センター長は「新たなロケットを開発するより、2回打ち上げる方が安い」とみる。種子島宇宙センター(鹿児島)の打ち上げ用設備を増強型に対応させる費用もかさむ。

 増強型が費用に見合うものになるには「国内で大型ロケットの需要が高まることが必要」と佐々木氏は分析。実現に向けては、まだ詳細な検討が必要とみられる。

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【用語解説】H3ロケット

 日本で現在主力のH2A、H2Bロケットの後継機。全長63メートルで、高度3万6000キロの静止軌道に6.5トンの人工衛星を運べる。2020年度から20年間、年6回程度打ち上げる。構造を簡素にするなどして価格をH2Aの約半額となる約50億円に抑えるのが目標。ロケットを再利用できるようにして低価格化を図る米企業に対抗し、政府だけでなく企業からの打ち上げ受注増を狙う。

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