三菱ケミカルホールディングス(HD)は18日、56・39%を出資する東証1部上場の田辺三菱製薬を完全子会社化すると発表した。19日からTOB(株式公開買い付け)を実施し、総額約4918億円を投じ完全子会社化する。ヘルスケア分野の強化が最大の狙いだが、親会社と子会社が株式を上場する親子上場を解消する目的もありそうだ。
TOBは来年1月7日までで実施する。買い付け価格は1株あたり2010円で、18日の終値(1338円)より50・2%高い。完全子会社化後の田辺三菱株は上場廃止となる。
同日都内で会見した三菱ケミカルHDの越智仁社長は完全子会社化について、親子上場解消が「一つのきっかけにはなっている」と認める一方、「医薬に特化するだけでなく、予防医療や再生医療、(治療後の)アフターまでやっていくことが重要」と説明した。
親子上場をめぐっては、親会社が支配的な立場を利用し、少数株主に不利益を与える可能性があるなどの問題点が指摘されている。13日には、東芝が東芝プラントシステムと西芝電機、ニューフレアテクノロジーの上場子会社3社に対してTOBを行い、完全子会社化すると発表している。