ヤフーLINE統合

ソフトバンク、日本初スーパーアプリの野望 ラスト1ピース飲み込む

 ソフトバンク(SB)子会社のヤフーとLINEの経営統合で実現したいのは、生活に必要なあらゆるサービスをスマートフォンのアプリ1つで提供する「スーパーアプリ」の構想だ。米中巨大IT企業の優位性が高まる中、日本で1億人経済圏を握る対抗軸をつくり、革新的なモデルで世界での勝負に打って出る考えだ。

 「強い危機感と成し遂げたい大きな志が共通している」。18日の会見で相手企業カラーのネクタイを結んで登場したZHDの川辺健太郎社長とLINEの出沢剛社長は統合の背景について口をそろえた。

 毎年1回、トップ同士が情報交換の場を持つ両社。川辺氏は毎回「大きなことを一緒にやろう」と呼びかけていたが、毎回はぐらかされていたという。だが、今年の春先に行われた会合では出沢氏は「思うところがあって具体的に進めましょうとなった」と明かした。6月に親会社を交えた協議が行われ、統合に向け一気に交渉が本格化した。

 出沢氏は「GAFAと桁違いの差がついており、今手を打って次のステージに進むべきだろうというタイミングだと思った」と語る。危機感に加え、LINEは最近、利用者数が伸び悩み、成長事業に据えるスマホ決済や人工知能(AI)の分野で投資が膨らんで赤字に陥っていた。SB傘下のヤフーとの統合は事業、財務両面で強力な後ろ盾になる。

 一方、統合を呼びかけていた川辺氏の念頭にあったのはスマホ向けサービスに乗り遅れたヤフーの巻き返しだ。SBGが出資する中国のアリババグループの「アリペイ」を手本に、スマホ決済「ペイペイ」をあらゆるサービスを一括で提供する構想を描いていた。

 「スーパーアプリ化が今後の強みになる」と川辺氏は強調する。LINEの約8千万人の顧客基盤もさることながら、グループで手つかずのメッセージアプリを何としても手中に収めたかった。利用者が1日何度も利用するメッセージアプリを窓口にすれば、他のサービスに顧客を誘導しやすくなるからだ。

 ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長は川辺氏から統合案の説明をうけ「100%賛成だ」と答えたという。「統合連携することで前よりも使いやすい、便利になったというのがないと誰からも支持されない」と繰り返した。

 スーパーアプリが実現すれば、消費者にとってはサービスごとにアプリを入れたり、立ち上げる煩わしさがなくなり、利便性が大きく向上しそうだ。だが、強力なプラットフォーマーが登場することで、他のITサービス企業が駆逐されて寡占が進み、結果的にサービス価格が割高になるリスクもはらむ。(万福博之)

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