鉄道新時代

自動運転普及へデータ蓄積 三菱電機・執行役員の福嶋秀樹氏に聞く

 鉄道のIT化をリードする三菱電機。工場の自動化や省力化で培った技術やノウハウを活用した取り組みが注目される。同社が考える鉄道の未来とはどういうものなのか。この分野を管掌する福嶋秀樹・執行役員社会システム事業本部副事業本部長兼神戸製作所長に現状や展望を聞いた。

 --鉄道分野でもIT活用を本格化している

 「鉄道会社は車両や設備の保守・メンテナンスが大きな負担になっている。故障などで運行に支障が起きると数千万円規模の損害が出ることもある。保守の重要性は今後も高まっていくだろう。半面、労働人口の減少などもあり、人材確保や育成も課題だ。つまり、保守・メンテナンスには高度化と省力化というニーズがある。これらを実現するためにはIT、IoT(モノのインターネット)の活用が有効だ」

 --IT活用でどう変わるか

 「例えば設備の状態を常時監視し、その変化などをデータとして蓄積することで、故障の前兆を察知することができる。鉄道の分野でもこうした取り組みを広げていきたい。これにより、車両や設備の維持管理は高度化できる上、省力化も進む。車両内や機器・設備の状態を“見える化”することは、自動運転を普及させていく上でも重要な取り組みだろう」

 --今後の展望は

 「鉄道分野では、数年前まで省エネ化に向けた要請が強かったが、最近はIT化が中心になっている。IT化の進展で、保守・メンテナンスの効率化が進み、故障なども少なくできるのではないか。これに加え、車両や設備の見える化が進めば、障害からの復旧がスムーズに行えるほか、利用者に対する案内や情報提供も迅速で正確なものにできる。それらを目指す鉄道会社に対し、基盤となる“データプラットフォーム”も含め、われわれのITソリューションは役立てると思う」(青山博美)

【プロフィル】福嶋秀樹

 ふくしま・ひでき 京大院工学研究科修了。1987年、三菱電機入社。電力・産業システム製作所公共部公共プラント技術第三課長、神戸製作所社会システム第一部部長などを経て、2013年神戸製作所所長、15年伊丹製作所所長。18年4月から現職。57歳。

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