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切れ味も製品寿命も長持ち 京セラ、セラミックナイフ発売35周年

 京セラが手掛けるセラミックナイフが、10月に発売35年を迎えた。電子部品に使われる「ファインセラミックス」で作る数少ない日用品。なじみのない「白い包丁」はすぐに受け入れられなかったが、さびずに切れ味が長持ちする特徴が徐々に浸透し、来年には累計出荷本数が2000万本を突破する見込みだ。

 稲盛和夫名誉会長が「京都セラミック」の社名で1959年に創業した京セラ。陶磁器といった「焼き物」を指すセラミックスのうち、工業用に性能を高めたファインセラミックスを半導体の製造や医療機器などさまざまな分野に応用し、事業を広げてきた。

 日用品に生かそうと開発したのがナイフだ。当初は包丁メーカーに部品として売り込んだが鳴かず飛ばず。84年に自社ブランドの完成品として売り始めた。ただ、プラスチックのような見た目や、1本3万円という価格が敬遠され売り場に並ぶまでに時間がかかった。

 当時は会社の知名度も低く、百貨店では門前払いに近かったという。新人の営業マンだった脇坂恵介副事業部長は「最初は銀座のスナックで一本一本売って回った」と振り返る。「果物には抜群」とレモンをスライスして見せると、面白がって買ってくれた。

 価格の高さは、大量生産を可能としたことで解消された。2001年には1本5000円程度の普及モデルを出し、スーパーやホームセンターでも取り扱われるようになった。05年に海外進出し、今では55カ国以上に販路を広げた。

 脇坂副事業部長は「京セラの原点であるセラミックに社名を入れ、日用品として一般に販売している商品は少ない。事業規模は小さいが、大きな責任を背負っている」と気持ちを引き締めた。

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