子育て中の女性にも浸透
好調なワークユニホームは労働現場以外のシーンにも拡大している。
ファン付き作業服や保温性の高いアウターなどはアウトドアやスポーツ観戦などで活躍。撥水加工された作業着やシューズは汚れにくさなどから、子育て中の女性らに支持されている。
ヒットの牽引役となった作業服店専門チェーン最大手の「ワークマン」は、昨年9月に個人客向けにカジュアル化したプライベートブランドもそろえた新業態店「ワークマンプラス」を展開し、11月中には全国で140店以上に広げる。
投資支援サービスを提供する「フィスコ」のアナリスト、馬渕磨理子氏は「ワークマンはもともと機能性が高く安価な製品を扱っていたが、顧客の意見を取り入れてカジュアル化した製品を開発しSNSなどで発信してもらうことで、多くの人に製品の魅力が伝わりヒットした」と指摘。「ワークユニホームの人気は、ユニクロなどのように、ブランドよりも実用性を重視して服を選ぶ人が増えている証だ」という。
少子化、制服廃止で新陳代謝
一方で、学生服などのスクールユニホームの需要は少子化で減少傾向にある。
野球などのスポーツ用品も将来的な市場縮小が避けられず、新たな収益の柱とするため、各社はワークユニホームに力を入れる。
また企業や官公庁では、職場内でのカジュアル化や経費削減を受けて制服の廃止が相次ぐ中、狭い市場でのシェア競争が激化している。今年8月には、企業や官公庁向けのユニホームで業績を上げていた昭和41年設立の「サンリット産業」(大阪市)が事業を停止し、自己破産の手続きに入るなど淘汰の動きさえ出てきた。
幅広い消費者に受け入れられる多品種の製品づくりが、生き残りのカギになっているようだ。