金融

フィンテック企業、迫る銀行との契約期限 サービス継続への交渉難航

 金融とITが融合した「フィンテック」を展開する企業が試練を迎えている。法律で決まったタイムリミットの2020年5月末までに銀行と契約を結ばなければ、銀行のシステムに接続できなくなり、顧客の出入金記録を活用した家計簿アプリや会計支援といったサービスを中断せざるを得ない恐れがあるためだ。期限が迫る中、費用負担などをめぐって銀行と難しい交渉を進めている。

 フィンテック企業は、顧客からインターネットバンキングのログインIDやパスワードを提供してもらい、出入金記録を入手して自社のサービスに利用している。一方、銀行側はフィンテック企業による「成り済まし」と捉え、個人情報が漏れる可能性があることから「利用者保護の観点で問題だ」と批判している。

 このため国は17年に銀行法を改正。フィンテック企業に対して20年5月末までに銀行と契約を結ぶことを義務付け、その上で銀行のシステムから必要な情報を得る形式に切り替える。銀行には接続に応じられるようシステムの整備を求め、両者が納得する形での協業を要請している。

 全国銀行協会(全銀協)によると、大手行や地銀を中心に130行がシステムを開放する方針を表明し、うち100行程度が既に連携できる状態になった。全銀協は銀行とフィンテック企業の担当者が顔合わせする会合を開くなど連携を後押ししており、高島誠会長(三井住友銀行頭取)は「円滑に進むように取り組む」と強調する。

 フィンテック企業側も銀行との協議を急ぐ。会計ソフトのfreee(フリー、東京)は今年9月、特命プロジェクトチームを立ち上げた。山本聡一統括部長は「ほぼ全ての銀行に声を掛けた。体制を整えたので一気に進める」と意気込む。

 しかし、フィンテック企業が期限までに全ての銀行と契約にこぎ着けられるかどうかは不透明だ。銀行関係者は「システム整備には費用がかかる。応分の負担は求めたい」と話し、無償での接続を求めるフィンテック企業との交渉が進んでいないことを示唆する。

 フィンテック企業側は「銀行ごとに異なる仕様で連携する必要があり、技術者の確保が間に合わない」と悲鳴を上げる。別の関係者は「サービスの利用者を人質に取られたような状況では、なかなか交渉を進められない」と嘆く。

 金融庁は「年内をめどに大筋合意の必要がある」と両者に交渉加速を促すが、明確な打開策が見当たらない状況に危機感を募らせている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus