講師のホンネ

新聞を楽しく読むための仕掛けづくり

 近頃、新聞を読んでいる人をあまり見かけなくなった。かつての通勤電車では、多くの人が新聞を読んでいた。今やスマートフォンに代わった感がある。34年前、吉本興業に入社した頃の新入社員の仕事は、新聞からおもしろそうな記事を探すことだった。もっとも吉本興業だけでなく、広告代理店や雑誌社に就職した同世代の仲間の仕事も、新聞から使えそうな記事を切り抜くことが主な仕事だった。令和の現代、わが社のインターンシップの学生は、誰一人として新聞を読む習慣はない。実は、人前で話すことの多い「講師」も新聞を読んでいない人が多い。「新聞を読まないの?」と、仲間に尋ねると、「ヤフーニュースで十分」という答えが返ってくる。「ユーチューブやパソコンでもニュースを見られるし」と言う。テレビやヤフーニュースだけだと、情報が偏るとわたしは感じる。新聞の情報量って半端じゃない。(大谷由里子)

 わたしは、飛行機や新幹線に乗るときには、新聞を複数買い込む。何よりも、政治や経済を新聞で読むことは大切だと思っている。なぜなら、特に政治。政治に無関心であっても、無関係ではいられない。ITによって便利な世の中になった近年、そんなことを日頃から感じていた。また、これらの現実を多くの人に伝えたいとも思っていた。

 日本人は、なぜか人前では政治の話を避けようとする。海外では、普通に誰もが政治や宗教の話をするし、自分の意見を言う。チャプリンやミスター・ビーンは、世の中の出来事を楽しく笑いに変えて、世の人たちに風刺を通して大人気となった。せめて、「楽しく新聞を読んで、世の中や世界に興味を持ってもらえる仕掛けづくりができないかな」と、常々思っていたところ、出会ってしまった。30年間、風刺コントをし続けているコント集団「ザ・ニュースペーパー」。まさに「これだ」、これぞプロの仕事と鳥肌が立った。思いついたが吉日、善は急げと、彼らに猛アタック。スケジュールを押さえていただきました。

 「大谷由里子」と「ザ・ニュースペーパー」。「世界を学ぼう!世界を笑おう!2020年」と題して節分明けの建国記念の日(2月11日)に東京・霞が関にてお披露目します。ぜひ、笑いにいらしてください。

【プロフィル】大谷由里子

 おおたに・ゆりこ 奈良県生まれ。1985年、吉本興業入社。横山やすしのマネジャーを務め、宮川大助・花子などのタレントを次々と売り出した「伝説の女マネジャー」として知られる。2016年3月、法政大学大学院・政策創造研究科を修了。「笑い」を用いた人材育成法は、NHKスペシャルや日本経済新聞など多くのメディアで話題に。著書は35冊を数える。

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