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消費の開拓期待、日本酒世界へ 酒類市場シェア1%未満…需要の取り込み狙う

 日本酒の海外輸出促進のため政府が規制を緩和するのは、世界で日本酒人気が高まっているにもかかわらず、その需要をうまく取り込めていない現状があるからだ。世界の酒類の市場は約108兆円といわれているが、日本酒の市場は4000億円台と全体の1%未満で、消費地もほとんどが日本国内だ。ただ、うまく売り込めば世界で急成長する可能性を秘めており、近年の和食ブームを追い風に、日本“SAKE(酒)”を世界に売り込む。

 「日本酒は大変可能性がある。応援したい」。菅義偉官房長官は今月4日、視察先の鳥取県境港市で酒蔵を訪れた際、記者団にそう語った。日本酒市場は国内では縮小傾向だが、世界に目を向けると伸びる余地が大きいとの思いがあるからだ。

 国税庁によると、ワインの世界市場は約23兆円。日本酒の57倍も飲まれている計算で、料理と合わせて飲む酒としては、大きく水をあけられているのが現状だ。

 ただ、2013年に「和食」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されたことを契機に、日本酒も着実に世界に浸透し始めている。財務省の貿易統計によると、18年に海外に輸出された日本酒は約222億円で、9年連続で過去最高を更新した。

 実際、海外のレストランでも日本酒を提供する店は増えてきている。酒文化研究所代表の狩野卓也氏は「日本酒はワインよりも、合わせられる料理の幅が広い。濃厚な伝統的料理はワインの方が合うが、フランスの調理法も健康志向の高まりで、日本酒が合う薄味に変わり始めている」と指摘。その上で「日本酒の輸出も今の10倍程度に増える可能性がある」と語る。輸出が10倍に増えるということは、現在は4000億円程度の日本酒市場が1.5倍に拡大することを意味する。

 政府もこうした環境変化を商機と捉えており、今年6月に大阪市で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20サミット)でも日本酒をPRするブースを設けるなど情報発信に努めているほか、輸出手続きの簡素化などにも取り組んできた。20年度の予算要求でも、国税庁は日本産酒類の競争力強化・海外展開推進事業費として、今年度の10倍に当たる25億円を要求している。

 ある政府関係者は「日本酒が海外に広がれば、各地の酒蔵が活性化する。地方創生にもつながるし、日本経済にとっても大きなプラスだ」と話している。(蕎麦谷里志)

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