ソニーとパナソニックの有機ELパネルの開発部門を統合して設立されたJOLED(ジェイオーレッド、東京)は25日、能美事業所(石川県能美市)の量産ラインの完成式を開いた。生産効率に優れた最先端方式では世界初。2020年中の量産開始を目指す。
先行する韓国企業に対し日本勢が挽回を狙った動きだが、量産化は「周回遅れ」(業界関係者)ともされており、追い付くことができるかどうかは未知数だ。
石橋義社長は「世界中のパネルメーカーからも注目を浴びているラインだ。能美市から世界に発信する」とあいさつ。石川県の谷本正憲知事は「グローバル企業として発展する可能性を秘めていると確信した」と述べた。
有機ELはテレビやスマートフォンに使われる液晶パネルと比べ、消費電力が少なく鮮明な映像を再現できるとされる。能美事業所では素材を印刷するように画面に付着させる「印刷方式」によって生産する。現在の量産品よりも低コストで生産できるという。
JOLEDは石川県川北町の研究施設に試作ラインを持ち、印刷方式で有機ELパネルを製造している。ソニーやEIZO(石川県白山市)、台湾のASUS(エイスース)のモニター向けに出荷している。トヨタ自動車のコンセプト車「LQ」のデンソー製メーターにも採用された。
有機ELは韓国のサムスン電子やLG電子のグループが存在感を示す。日本メーカーはシャープがスマホ向けに生産している。ジャパンディスプレイ(JDI)は11月中に量産化する方針で、米アップルの時計型端末「アップルウオッチ」に使われるとみられる。