講師のホンネ

実は多い、出世や合格直後に鬱を発症 目標達成型人生のわなに気をつけろ

 人には2種類のタイプがいる。目標を決めてそれを達成することに喜びを感じる「ゴール型」。そして、目標そのものより目指す過程が重要な「プロセス型」。ゴール型の人は、目標に向かってタスクをこなすこと自体を快と感じる。受験勉強や食事制限など、日々の鍛錬を楽しみながら難なくこなし、勉強でもビジネスでも結果を出しやすい。自分をいじめ抜くのが大好きなアスリートや、山があれば登りたくなるアルピニストなどはゴール型が多いと感じる。(伊豆はるか)

 一方、プロセス型の人は目標達成にそれほどの快感を得られないため、ゴール型よりタスク管理や継続が苦手だ。三日坊主になりがちな自分を、精神力が弱いと責めたりする。目標達成型人生のわなにはまっている。ほとんどの人は、努力の末の目標達成こそ幸せへの道と信じて疑わない。子供の頃からそう教えられてきたからだ。しかし、プロセス型はがむしゃらな努力だけで快感を得ることはできない。むしろ、頑張れば頑張るほど楽しくなくなっていく。幸せになるために辛いことに耐えても、全然幸せになれない。

 実は、出世や合格などの直後に鬱を発症する人は多い。頑張りすぎて燃え尽きた上に、期待した充実感が得られないためだ。精神力の弱さを嘆く人は多いが、そもそも精神力という言葉自体がナンセンス。ゴール型とプロセス型の違いは精神力ではなく、何を快と感じるかという点。快を感じないことを続けるのは難しい。続かないのは精神力が弱いからではなく、楽しくもうれしくもないから。では、プロセス型がゴール型を羨望のまなざしで見つめる以外にできることは何か。

 がむしゃらな努力をやめて、プロセス、つまり前進し続けるための環境に注目することが重要。誰と、どこで、いつやる、ご褒美は何にするなど、とにかく楽しく継続するための環境づくりに全力を注ぐ。プロセス型が結果を出すためには、決して精神力に頼ってはいけない。そして、いつでも軌道修正する柔軟性を持つこと。プロセス型にとって重要なのは、決めた目的地に時間通り到着することではない。道中をどれだけ楽しめるかが一番。途中下車も行き先変更も問題ない。さて、あなたは目標達成のわなにはまっていませんか。

【プロフィル】伊豆はるか

 いず・はるか 兵庫県出身、精神科医・3児の母。慶大在学中に会社を設立し、塾や飲食店を経営。社長業の傍ら医学部入学。33歳で医師免許を取得。現在は精神科医・訪問診療医として働きながら、女性の新しい生き方を提案する「マルチライフプロジェクト」を主宰。現実的かつ具体的手法で女性を導く講座は毎回満席。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus