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女川2号機「合格」 沸騰水型再稼働1例目の可能性

 電力業界は27日、東北電力女川原発2号機が再稼働審査に事実上合格したことを「大きな一歩だ」(大手幹部)と歓迎した。東日本大震災以降、再稼働したのは加圧水型軽水炉(PWR)の9基のみで、事故を起こした東京電力福島第1原発と同じ沸騰水型軽水炉(BWR)は再稼働に至っていない。女川2号はBWRの再稼働1例目になる可能性が高く、原発再稼働の弾みにつながるのか注目される。

 政府は昨年7月に閣議決定した「第5次エネルギー基本計画」で、令和12(2030)年度の電源構成に占める原発の比率を20~22%にする目標を盛り込み、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけた。

 目標達成には約30基の原発稼働が必要とされるが、新規制基準の下で再稼働できたのはPWRの9基だけ。BWRの再稼働が進まなければ、電源構成目標は「絵に描いた餅」(大手電力幹部)となる。

 すでにBWRでは東電柏崎刈羽原発(新潟県)6、7号機、日本原子力発電の東海第2原発(茨城県)が審査合格している。だが、柏崎刈羽は新潟県が、原発事故に関する3つの検証の結果が示されない限り、再稼働の議論を始めることはできないとし、3年はかかるとされる。東海第2は、人口の多い水戸市などの避難計画立案が厳しく、再稼働のめどはたっていない。

 それに対し、女川2号では、再稼働の地元同意は比較的取り付けやすいとされ、令和2年度中の安全対策工事完了後、早ければ3年度中の再稼働も見込まれている。

 大手電力の首脳は「原発の信頼回復には、安全に、安定的に稼働することが一番。PWRに加え、BWRの信頼回復で全体の再稼働が加速する」と話す。

 ただ、電力業界への逆風は強まっている。規制委はテロ対策施設が未完成の場合、運転中でも停止を求める方針。九州電力は川内1、2号機(鹿児島県)が来年3月以降、停止となる。関西電力役員の金品受領問題も影を落とす。業界が期待するように原発再稼働を進めるには、きわめて厳しい情勢だ。(平尾孝)

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