政府が国産の新型乗用車を対象に、2021年11月から自動ブレーキ搭載を義務付ける方向で最終調整に入ったことが分かった。性能要件も来年1月発効見込みの国際基準に合わせ、現行の国内基準より厳格化する。高齢ドライバーの操作ミスによる事故多発を踏まえた。既に主要メーカー各社と調整しており、関係省庁との協議が調えば年内に正式決定する。
政府は6月にまとめた緊急対策で義務化を検討するとしていた。国際基準の採用により、メーカーによってばらつきがある自動ブレーキの精度を高め、普及させる。
軽自動車を含め、21年11月以降に販売される新型車やモデルチェンジする車が対象。既存の車種やモデルは25年12月以降の生産分を対象にする方向だ。輸入車は開発の猶予期間を設けるため、国産新型車より後の義務化を検討している。
6月に国連機関でまとまった自動ブレーキの国際基準は、前方で静止している車や走行している車、歩行者それぞれに対し「時速40キロで走行中、前方に止まっている車に追突しない」「時速30キロで走行中、道路を横断する歩行者に衝突しない」といった性能要件を定める。国内では対歩行者の性能要件がない上、国による性能認定も受けるかどうかはメーカーの判断に委ねられている。
自動ブレーキ 車に搭載されたカメラやレーダーで他の車両や歩行者を検知し、衝突しそうになると自動的にブレーキをかけるシステム。衝突被害軽減ブレーキとも呼ばれる。国内メーカーの新車への搭載率は2018年で8割超。国土交通省は18年3月、安全性の高い自動ブレーキを普及させるため、メーカーが任意で申請できる性能認定制度を創設した。