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日本少額短期保険協会 業界一丸でコンプライアンス強化

 日本少額短期保険協会会長・渡辺圭介さんに聞く

 --今年度からの中期3カ年計画でガバナンス(企業統治)・コンプライアンス(法令順守)の強化を掲げた

 「少額短期保険業界は『(加盟企業数)100社・(合計の収入保険料)1000億円』時代に入り認知度は向上したが、少額短期保険に対する信頼感をより確かなものにするためには業界が一丸となって取り組む必要がある。このため経営トップセミナーや勉強会などを開催し啓発するほか、情報交換・交流の場を設けていく」

 --協会主導で取り組む理由は

 「コンプライアンスなどに詳しい人材は少ないので少短各社が個別に探すのは難しい。採用はコストアップにもなり、少短の特徴であるローコストオペレーションを維持できなくなる可能性があり、『いい商品を安く迅速に提供してほしい』というお客さまの求めに応じられなくなる恐れもある。横のつながりが強い業界なので新規設立会社に先輩会社が経営ノウハウを伝授するなどの土壌を作りたい。非競争分野はシェア(共有)し、個社としてコストダウンや品質向上に力を注いだ方がいい」

 --このほかに中計で取り上げたビジョンは

 「一つは新商品づくり。お客さまに寄り添う商品、ほかにはない商品の提供が少短の存在意義だが、最近は目新しい商品の開発力が鈍っている。われわれはベンチャーなので、お客さまニーズを的確にとらえ、選ばれるだけの魅力的な商品を開発していく必要がある。そのために行政に商品審査の迅速化を働きかけていく。もう一つは業界のあるべき姿をつくること」

 --市場の成長性は

 「当面は2桁成長が続く。異業種からの参入が増え、名立たる企業からの参入問い合わせもある。興味を持たれる業界になったといえる。ただ成長するにはコンプライアンスなどの強化が欠かせず、終わりはない」

【プロフィル】渡辺圭介

 わたなべ・けいすけ 早稲田大商学部卒。2005年三井住友海上火災保険入社。13年4月FIS入社、同7月代表取締役、18年6月取締役会長。19年6月から日本少額短期保険協会会長。東京都出身。

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