経済対策

台風被害を受けて国土強靱化 水害対策を中心に

 5日に閣議決定された経済対策の大きな柱の一つとなったのが災害復旧や防災・減災対策だ。今年日本を襲った一連の台風による甚大な被害で明らかになった水害対策を中心とした国土強靭化の取り組みを、新たに編成する元年度補正予算で推し進める。すでに策定済みの令和2年度までの3カ年の防災・減災緊急対策と合わせて、災害への備えを強める。

 被災地の復旧・復興については、政府は今年の台風15号、19号だけでなく、東日本大震災や熊本地震など近年の大災害による被災地も対象とすることを明記した。被災した子供の就学や学習支援のほか、高齢者の孤立防止の見守り活動などを強化する。また、被災鉄道の復旧や代行バスの運行も支援し、被災地の生活再建を進める。

 一方、新たな災害発生時に向けた防災・減災では、タワーマンションの浸水などが起きた10月の台風19号の一連の被害で課題が浮き彫りになった水害対策を中心に据えた。

 大規模な浸水や土砂災害の被害を最小限に防ぐため、氾濫(はんらん)発生の危険性が高い河川の底を掘るなどの対策を講じるほか、堤防をかさ上げするなどの強化策もとる。河川に放水できないほど大量の雨が降った場合に起きる内水氾濫の対策のため、雨水を貯める施設も整備する。

 また今年9月の台風15号では鉄塔などの送電網が被害を受け、千葉県などで停電が長引いた。今回の対策では、災害対応の拠点となる医療施設の非常用発電設備の機能向上を図る。

 ハード面での対策に加えて、長野や福島、宮城などで浸水想定図が未作成の河川で大規模洪水が相次いだことから、水害リスク情報の住民への提供を強化するなど、ソフト面からの防災対策強化も盛り込んだ。

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