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リチウムイオン電池「持続可能社会の中心技術に」 吉野さんノーベル記念講演

 【ストックホルム=桑村大】ノーベル化学賞を受賞する吉野彰・旭化成名誉フェロー(71)が8日午前(日本時間8日夜)、ストックホルム大の講堂で受賞記念講演を行い、受賞理由のリチウムイオン電池が「持続可能な社会を実現するための中心的役割を果たすはずだ」と強調した。

 吉野さんは「リチウムイオン電池の開発経緯とこれから」と題して講演。紺色のスーツ姿で壇上に立つと、「受賞は大変光栄だ」と述べた上で、「電池開発に携わる多くの研究者に喜んでもらった」と語った。

 続いて、9歳のときに小学校の先生の勧めで英科学者マイケル・ファラデーの著作「ロウソクの科学」を読んで化学に興味を持ったエピソードなどを披露。人生で最も良かった4つの決断として、京都大で化学を学んだこと、旭化成に入社したこと、妻の久美子さんと結婚したこと、リチウムイオン電池の研究を始めたことを上げた。

 また、リチウムイオン電池の開発は、いずれもノーベル化学賞を受けた福井謙一氏や白川英樹氏らの研究の流れをくむものだったと説明し、「リチウムイオン電池は多くのノーベル賞受賞者に支えられて誕生した幸せ者だ」と紹介して会場の笑いを誘った。

 さらに、リチウムイオン電池が自動車などに応用される将来像も動画で紹介。電池の研究開発が、電子機器を自由に持ち運ぶ「モバイルIT社会」を実現しただけでなく、人工知能(AI)などの新しい技術とリチウムイオン電池を組み合わせることで、持続可能な社会が近い将来実現できると力説した。

 約30分の講演を終えると、ストックホルム大の講堂を埋めた聴衆から割れんばかりの拍手が送られた。

 10日の授賞式を前に行う記念講演は「ノーベルレクチャー」と呼ばれるノーベルウイークの主要行事。英語で行われる講演に向けて準備を進めていた吉野さんは「自分にとってのメインイベントで、環境問題解決への道筋を示すようなメッセージを世界に送りたい」と抱負を語っていた。

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