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世界初の液化水素運搬船、進水式 川崎重工、実証へ

 川崎重工業は11日、神戸市中央区の神戸工場で、世界初となる水素運搬船の進水式を行った。同社は岩谷産業などとともに、豪州で採掘した低品位の石炭「褐炭」から水素を取り出し、マイナス253度で液化して、神戸市内に建設する貯蔵施設まで運び入れる構想を描いている。運搬船は来年度に実施される技術実証に投入される予定だ。

 運搬船は「すいそ ふろんてぃあ」と命名された。全長116メートルで、総トン数は8千トン。播磨工場で製造中の1250立方メートルの貯蔵タンクを搭載し、来年秋ごろに完工する。式典では、関西の財界関係者や地域住民ら約4千人が見守る中、水しぶきを上げながら進水した。

 令和12年には、液化天然ガス(LNG)の運搬船に相当する16万立方メートルの水素を一度に大量輸送する船の商用化を目指している。

 川崎重工では今後、より大型の船と貯蔵タンクの開発を進める考えだが、担当者は「船などをスケールアップした上でマイナス253度を維持するためには、まだ技術的な課題がある」と話した。

 政府は次世代エネルギーの水素を「脱炭素社会」の切り札と位置づけ、本格普及に向けた施策に取り組んでいる。川崎重工や岩谷などは水素を輸入するだけでなく、発電所や燃料電池車(FCV)の動力源として利用するまでのサプライチェーン(供給網)を構築するプロジェクトも進めている。

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