メーカー

環境に優しい「エコファー」 愛護意識高まり人気 本物にない色や機能も

 本物の毛皮(ファー)そっくりに合成繊維で作った「エコファー」の人気が広がっている。環境保護や動物愛護意識の高まりを背景に、国内外のファッションブランドが積極的に採用。繊維メーカーは本物にない発色や扱いやすさなど機能性を高めた素材の開発に力を入れている。

 東京の百貨店・西武池袋本店の地下1階。女性向けファッションを幅広く手掛けるマッシュホールディングス(東京)とコラボした売り場では数ブランドを展開。目立つ位置に並ぶのはエコファーを使ったコートやジャケット、バッグなどだ。

 マッシュ社は約3年前、グループ企業の商品には本物の毛皮を使わないとする「ファーフリー」を宣言。冷え込みが厳しい11月末、訪れた女性客らは「手触りが良くて暖かそう」などと商品を手にしていた。

 ブランドの一つ「FURFUR(ファーファー)」の担当者は「襟や裏地にエコファーを使ったコートなど4万円台の商品が良く売れます。20代後半から30代前半のお客さまに人気です」と話す。

 高島屋日本橋店では、婦人服売り場にある数十ブランドのほとんどがエコファーを使ったアイテムを扱っている。首回りに巻く小物は1万円程度。コートやジャケットは2万円台から4万円程度のものが売れ筋という。顧客は40~50代が中心だ。

 売り場担当者は「ここ2、3年で急速に品質が上がり、触っただけでは本物と区別が付かない物が多いです。手頃な価格で高級感があり、淡いグリーンなど本物では出しにくい色があるのも人気の秘密」と話す。

 三菱ケミカルは伝統的な織物産地・和歌山県橋本市の岡田織物と協力し、エコファー用の繊維「プロパール」を開発した。断熱性が高いアクリル繊維で、断面がY字型になっているのが特徴。織物にして加工すると先端が三つに割れ、動物の毛のように先が細くなる。

 このほか、長円形や鈴型などさまざまな断面の繊維があり、「混合比率を変えることでキツネやウサギ、ミンクなどそれぞれの動物特有の風合いを出せます」と担当者。静電気を帯びにくくしたり太陽光を受けて発熱したり、合成繊維ならではの機能も付けることができる。「さらに付加価値を高め市場を拡大したい」と意気込んでいる。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus