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「ワークマンに続け」水道工事会社がアパレル参入 立役者は東大卒の女性社長 (1/2ページ)

国分瑠衣子
国分瑠衣子

 作業服市場が熱い。「ワークマンプラス」で勢いに乗る作業服専門店チェーン大手のワークマンを筆頭に、機能性が高く低価格の作業服を一般向けに販売する動きが加速している。この流れに続こうと「スーツ型作業着」で、シェアを急拡大しているのが、スタートアップ企業のオアシススタイルウェア(東京都港区)だ。立役者は中村有沙社長(33)。東大経済学部卒で、従業員70人の水道工事会社に新卒で就職し、アパレル事業を立ち上げた。「尖った作業服で人手不足を解消する」と語る中村社長の思いとは。

 清掃会社からメガバンクまで

 東京・青山一丁目。大手アパレルメーカーが集まる一角にオアシススタイルウェアの本社はある。ガラス張りで解放感があるフロアの一角には、ベーシックなスーツが並ぶ。同社のスーツ型作業着「ワークウェアスーツ(WWS)」は、見た目はスーツだが「機能性の高い作業着」をうたい、ストレッチ(伸縮)性や撥水性の高い生地を使い、自宅でも洗濯できる扱いやすさが特徴だ。

 2018年3月の発売以来、約1年半で清掃会社やマンション管理会社、酒蔵、福祉施設など330社が制服として採用した。ある大手繊維メーカーの担当者は「ユニフォーム業界の関係者の間では、『どうせ売れないだろう』との見方が大半だった。正直、ここまで売れるとは」と舌を巻く。最近は、メガバンクや地方銀行といった金融機関から「即売会を開いてほしい」という依頼も舞い込み始めた。

 もともと同社は、マンションの水道メンテナンスを専業で行うオアシスソリューション(現在はグループ会社)という会社だった。今は水道工事業に加え、カフェ、アパレルの3事業を展開しており、グループ化している。中村社長は2011年4月に、専業の水道工事会社だったオアシスソリューションに新卒で入社し、2017年12月にアパレル事業を立ち上げた。

 神奈川県出身の中村社長は、東京都内の有名中高一貫校を卒業後、東京大学経済学部に進んだ。当時はディー・エヌ・エー(DeNA)やサイバーエージェントといったスタートアップから成長したIT企業が脚光を浴びていた。中村社長も大学在学中に若手経営者の講演を聞くことが多く「ベンチャーで新規事業を立ち上げたい」と、影響を受けたという。

 だが、ここからが珍しい。同期が大手企業やIT企業への就職を決める中、「IT企業は何となくなじめない」とナビサイトで別の業種を探し、見つけたのがオアシスソリューションだった。同社は、関谷有三氏(現在はオアシスライフスタイルグループ代表)が、栃木県で両親が営んでいた水道工事会社の事業を立て直し、東京で起業した会社だ。「『水道工事の枠にとらわれずに新しいことをやりたい』というベンチャーの社風を持っていた」(中村社長)ため、就職を決めた。

 「本当に大丈夫なの」と両親は猛反対したが、中村社長の意志は変わらず2011年4月、オアシスソリューションに入社する。営業部に配属になり、現場を飛び回る日々がスタートした。顧客を回れば回るだけ契約が取れる営業の仕事が性に合っていた。

 作業服姿で、同級生に遭遇

 ある日、アパレル事業を立ち上げるきっかけとも言える日が訪れる。東京・丸の内のオフィス街で、大学の同級生の女性に偶然再会した。同級生はかっちりとしたオフィスウエアに身を包んでいた。一方の中村社長は、ダークブルーのブルゾンとパンツの「ザ・作業服」だった。しかも当時は女性用サイズがなかったため、男性用のSサイズを着ていてサイズも合っていなかった。「仕事にはプライドを持っていたが、何とも言えない恥ずかしい気持ちになった」と振り返る。

 入社から4年後の2015年に、中村社長は人事部の新設を提案し、採用活動と並行しながら、作業服のリニューアルに乗り出した。社員へのヒアリングで「仕事帰りのデートにも着て行けるデザインの制服がいい」という声をヒントに「スーツ型の作業服」を作り始めた。

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