サービス

パソナ、五輪に有償スタッフ2000人 ボランティアと待遇差に疑問も

 2020年東京五輪・パラリンピックに向け、競技会場の運営などに即戦力として約2000人の大会スタッフを、人材派遣会社「パソナグループ」が時給1600円以上で募集している。活動内容が似ていながら、無償の大会ボランティアと異なる待遇に疑問の声も。識者は「報酬の有無の線引きを明確にするべきだ」と指摘する。

 「東京2020で働く」。東京都内の求人誌に大会を支える仕事特集が掲載された。派遣されるスタッフは、時給1600円以上でユニホーム一式を支給。勤務期間は20年2月から9月にかけて配置によって異なり、1~8カ月程度といった条件が並んでいた。

 仕事内容は、競技会場運営の他、輸送に関する管理・運営や医師のサポート業務、IT・テクノロジー機器の運用など八つの分野が紹介され、選手村や各競技会場が勤務地になるという。

 パソナグループは、人材サービスのカテゴリーで大会組織委員会と「オフィシャルサポーター」契約を締結。応募は20年1月まで受け付けており、同社の広報担当者は「おおむね順調だ」と話す。

 これに対し、インターネット上では「同じような業務ならボランティアの人がすごい損」「タダ働きのボランティアは、下手すりゃ宿泊費自腹切ってばかみたい」などと疑問の声が出ている。

 大会ボランティアは、20万人超の応募者から組織委が約8万人を選んだ。1日8時間程度、10日以上の活動が基本で無給。交通費相当として1日1000円分のプリペイドカードを支給する予定だ。

 組織委の広報担当者は「ボランティアは任意でサポートが主な活動。派遣のスタッフはより責任が重く、大会本番に向けて即戦力として職務を遂行してもらう」と説明する。

 法政大の杉本龍勇教授(スポーツ経済学)は「ボランティアが無償なのに、派遣のスタッフはなぜ有償なのか。業務内容に大きな差がないように見えて違いが分かりにくいので、不公平感がある」と指摘。「ボランティア、派遣スタッフともにどういう配置で、どのように仕事を分担するのか。組織委は情報開示すべきだ」としている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus