金融

かんぽ、違反疑い契約1万2836人/7割以上が60歳以上

 日本郵政グループは18日、かんぽ生命保険の不適切販売問題をめぐる社内調査結果を公表した。15日時点で670件を法令や社内規定に違反した契約と認定した。違反の疑いがある契約は1万2836人にのぼった。だが、調査は完了しておらず、違反件数はさらに増えるのは必至だ。

 日本郵政の長門正貢社長、かんぽ生命の植(うえ)平(ひら)光彦社長、販売委託先である日本郵便の横山邦男社長が記者会見を開いて発表した。焦点だった進退については3社長とも明言せず、長門氏が「しかるべき経営責任について、しかるべきタイミングで改めて発表申し上げたい」と述べるにとどめた。

 現在自粛しているかんぽ商品の販売を当初予定した来年1月に再開するかについても「特別調査委員会の報告書をみて、関係各所と調整して改めて報告したい」(横山氏)としたが、立ち入り検査に入った金融庁が業務停止命令を出す方向で検討しており、ずれ込むことになりそうだ。

 郵政グループは過去5年で保険料の二重払いなど顧客に不利益を与えた疑いがある契約約18万3千件(約15万6千人)のうち、約14万8千件(約12万8千人)で顧客の意向を確認した。

 違反の疑いがある契約のうち販売員への聞き取りを経て2487件で違反の有無を判定。顧客に虚偽を説明する法令違反が48件、家族を同席させずに高齢者と契約するなど社内規定違反が622件あった。長門氏は「全体のパイと比べるとちょっと少ないかなという印象がある」と語った。

 不利益を被り、旧契約の復元を希望する顧客が1万5324人いることも明らかにした。

 また、外部の弁護士で構成する特別調査委員会の最終報告書を公表。違反の疑いがある契約を結んだ顧客の7割以上を60歳以上が占めることなどが判明した。

 特別委は不適切販売の背景について「達成困難な目標設定」といった過剰なノルマや、「実態把握につながる現場の声が経営層に届かない」といった組織体制や組織風土などの問題も挙げた。

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