金融

かんぽ調査報告 不適切販売「黙認される風土が形成」

 日本郵政グループが設置した特別調査委員会は18日、かんぽ生命保険の不適切販売問題の調査報告書を公表した。15日時点で670件を法令や社内規定に違反した契約と認定した。違反の疑いがある契約は1万2836人にのぼる。不適切販売をめぐる調査は完了しておらず、違反件数はさらに増える見通しだ。

 特別調査委は関与した募集人や管理者の処分などを再発防止策に挙げた。一方、経営責任について、会見した委員長の伊藤鉄男弁護士(元最高検次長検事)は「もともと今回の調査の対象になっていない」(伊藤氏)として言及しなかった。

 郵政グループが過去5年で保険料の二重払いなど顧客に不利益を与えた疑いがある契約約18万3千件(約15万6千人)のうち、約14万8千件(約12万8千人)で顧客の意向確認を済ませた。

 特別調査委が実施した募集人のアンケートによると、違反の疑いがある契約を結んだ顧客の7割以上を60歳以上が占めるなど、高齢者を狙って行われていたことなどが判明した。

 違反の疑いがある契約に関与した募集人は5797人と、募集人全体の1~2%を占めていた。また、違反の疑いがある契約で、販売成績が「優秀」とされる募集人が関与した件数の割合は約26%だった。

 不適切販売の原因については「達成困難な目標設定」といった過剰なノルマや「顧客第一の意識やコンプライアンス意識の低さ」などを指摘した。また、「不適切販売で成績を上げた募集人を厚遇して不適切販売が黙認される風潮が形成された」ことや、「実態把握につながる現場の声が経営層に届かない」といった組織体制や組織風土などの問題も挙げた。

 再発防止策には「録音や録画などを用いた募集状況の可視化」といった営業手法の見直しのほか、「募集コンプライアンスに特化した通報制度の設置と内容の取締役会への定期報告」などの組織体制や社内制度の見直しなどを挙げ、これらの施策を「3年間ですべて完了させることを目途に実施すべき」と提言した。

 特別調査委は「原因分析や改善策の提言に必要な調査をおおむね終了した」としたが、郵政グループの社内調査が終了していないことなどから、来年3月末をめどに追加報告書を提出する予定だ。

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