見守りや在宅時配達
個人を特定する契約が可能な場合は、電気や水道などの利用状況から、遠隔による高齢者の見守りサービスも可能になる。人手不足が問題となっている運送事業でも、在宅かどうかが分かれば、効率よく配達ができるようになる。
問題はセキュリティーやプライバシーの保護だ。仮に電気を使っていないことが第三者に漏れれば、外部に留守であることを知らせることにもなる。不法侵入、空き巣を呼び込む懸念もあり、高度な情報管理が欠かせない。
対策として浮上しているのが、個人からデータを預かり、企業に提供する「情報銀行」を介する仕組みだ。これによって、セキュリティーやプライバシー保護の問題の解消を図る考えだ。個人を特定させないケースや、利用者の了解を得て個人を特定する代わりに、高度なサービスが受けられるようにするなど、情報銀行は個人の希望に応じてデータを企業に提供する。
経産省の有識者会合では、すでにおおむね合意が取り付けられており、政府は来年の通常国会に電気事業法改正案を提出する方針だ。普段の生活が有益なビッグデータとなり、社会課題の解決に向けた取り組みや新たなサービスを生む。そんな時代が間近に迫っている。(平尾孝)