街中の卓球場が活況だ。ボウリング場などのアミューズメントパークやバーに卓球台が置かれているケースも増えている。日本代表選手たちの国際舞台での活躍で、「暗い」「地味」といった旧来のイメージも払拭。仲間や同僚らと楽しむ新しいコミュニケーションツールとしても注目されている。天候を選ばず、「省スペース」で楽しめる気軽さも後押ししているようだ。(木村郁子)
大阪市北区にある卓球バー「卓球バーラウンジ パレット」北新地店は、歓楽街の雑居ビル2階に店を構える。
約60坪ある広い店内には、卓球台が中央にあり、ミニ卓球台もしつらえられている。バーカウンターやテーブル席から対戦する様子を見ることができるようになっている。
「本格的に卓球をするのではなく、仲間と気軽に楽しく過ごしてもらいたい、という思いからオープンさせました」とオーナーの前田直輝さん(37)。
平成25年、本町に開店し、27年には北新地店をオープンさせた。テーブルチャージ500円に卓球台利用料が含まれている。
「通常の飲み会だと、いったん腰を据えてしまえば、席も移動しないし、話題も限られる。卓球というスポーツで、話題も増え、同僚や得意先の意外な一面が見えたりするのがおもしろいですね」。職場の送別会と懇親会を兼ねて訪れた大阪市の会社員、井原崇裕さん(33)は話す。
利用者は、近隣の会社員らさまざま。卓球台を独占できる個室のVIPルームは、貸切パーティーや大会の会場として選ぶ人も多いそうだ。
また、前田さんによると、卓球をプレーすることで思いがけずカップルが誕生することも。実際、婚活サイトでは卓球パーティーも人気継続中だ。
婚活パーティーやイベント情報などを掲載するサイト「街コン ジャパン」を運営するリンクバル(東京都中央区)によると、体験型のイベントの方が距離も縮まり、人気が高くなりつつあるという。
卓球がイベントとして登場したのは平成26年から。現在はボルダリング、バドミントン、フットサルなどさまざまなスポーツが増えているが、同社広報の出来千春さんは「卓球は安定して支持され、定期的に開催されている」と話す。
卓球は、なぜか他のスポーツと比べて「暗い」「地味」という印象を持たれがちだった。
しかし、ロンドン五輪(2012年)で、福原愛選手や石川佳純選手らの活躍で初のメダルを獲得。その後も、水谷隼選手や伊藤美誠選手ら日本代表選手の活躍などからイメージが一変、「かっこいいスポーツ」としても知られるようになった。