社の垣根超え向上
4社は昨年から「ビットバレー」と題したワークショップや懇親会を開催し、学生や若手人材への普及や新しいサービスを作り出していくためのきっかけ作りを目指している。社内だけでなく他社とも情報を共有することがあり、「もう個社でやる時代ではない。業界全体で向上しなければ」と稲守さん。
今年6月には、4社と東急は渋谷区と「キッズバレー 未来の学びプロジェクト」として、来年度から必修化されるプログラミング教育についてカリキュラム開発の助言やIT教育ノウハウ提供などの協定を結んだ。区教育委員会の担当者は「教員向けの研修も始まっており、とてもありがたい。これからの時代は情報活用能力が必須となるので子供たちの生きる力を育むベースとなれば」と話す。
こうした取り組みの背景には、米国や中国の後塵(こうじん)を拝している日本のIT事情がある。稲守さんは「日本では米国や中国に比べて新しい企業が生まれる数が少なく、失敗しても再挑戦できる環境が弱い」と指摘。渋谷区が掲げる「ちがいをちからに変える街」を引き合いに出し、「多様性を推していく姿勢はITと親和性が高い。ITはまだ分からない、難しいという部分があるが、渋谷区はそれを受け入れてくれていて、結果的に企業の集積効果が生まれやすくなっている」と渋谷の魅力を説く。(吉沢智美)((下)は明日12月26日に掲載します)