金融

「もはやコスト」 支店活用に悩む銀行、オフィスやホテルの併設も

 関西の銀行が店舗の活用に頭を悩ませている。銀行にとって顧客との重要な接点となるインフラだが、各行とも近年の超低金利で収益力が低下していることに加え、デジタル化で店舗への来店客数が減少。各行は支店網の再編に着手しており、ある地銀トップは「もはや店舗はコスト」と言い切る。サテライトオフィスを設置、建て替えでホテルを併設…。各行は有効活用に知恵を絞る。

 りそな銀行は今年7月、一部支店の遊休スペースを活用し、長距離通勤者などが活用できるサテライトオフィスを開設した。本店や所属店まで出勤せず、自宅近くの支店で仕事をしてもらう試み。育児や介護を抱える従業員などの活用を想定しており、働き方改革の一環だ。東京、大阪、埼玉で計11支店に設けている。

 いずれのサテライトオフィスも支店の事務削減や本部への機能集約などで生まれたスペースを活用。大阪府和泉市のりそな銀行和泉中央支店では、住宅ローンプラザの窓口だった約18平方メートルが間仕切りされ、サテライトオフィスに生まれ変わった。

 本店(大阪市)で役員秘書を担当する女性従業員(29)は、役員の出張時など本店に通わなくていい日に週1回程度利用するという。サテライトオフィスまでの通勤は20分。本店より40分短い。「業務に集中でき、残業も減った」と話す。

 同行によると、一部従業員を対象に試験導入した際、通勤時間と残業時間がそれぞれ約2時間短縮。参加者はいずれも2、3割程度業務効率が上がったと回答した。8~11月には延べ約280人が利用。人事担当者は「さらに利用できる拠点の拡大を検討したい」と話す。

 超低金利政策と人口減少で、構造不況ともいわれる銀行は店舗数を減らしてきた。全国銀行協会によると、平成14年3月時点で1万3千以上あった本支店数は、地銀を中心に31年3月までに約1割減少した。

 直近では奈良県を地盤とする南都銀行が来年6月までに137店舗のうち30店舗を集約、滋賀銀行は133ある店舗を今後4分の3程度に整理する方針を明らかにした。

 一方、拠点数の維持に注力する地銀もある。京都銀行は建て替え中の河原町支店(京都市)のビルに客室約190室の宿泊施設を併設する。今後も建て替え時に合わせてオフィスやマンションの誘致を検討。土井伸宏頭取は「拠点を残すためにコストをまかなう方法を考えたい」と話す。

 マイナス金利のさらなる拡大が取り沙汰され、なかなか明るさが見えない銀行業界。支店をどう活用するか各行の判断は分かれそうだ。

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