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ぺんてる買収 コクヨ出直し、混乱長期化 プラスの抵抗で膠着

 文具大手コクヨ(大阪市)によるぺんてる(東京)への敵対的買収は「ホワイトナイト(白馬の騎士)」のプラス(東京)の抵抗により膠着(こうちゃく)状態となった。電撃戦を仕掛けたコクヨは年内決着を目指したが、守りを固めたプラス陣営が食い止めた格好だ。ただコクヨは今後も買い付けを進める予定。株主総会を視野に持久戦も辞さない構えで、混乱の長期化は避けられない見通しだ。

 コクヨは11月15日、ぺんてるが業務提携協議に後ろ向きだとして、ぺんてる株の過半数を保有し子会社化すると「宣戦布告」した。買い付け価格は1株当たり3500円。関係者によると、ぺんてるはこれまで株主から保有株を売りたいと申し込みがあった際、1株125円を提案しており、買い付け価格は従来の28倍。破格ともいえる設定だが、コクヨのIR担当者は「ぺんてるにそれだけの企業価値があると判断した」と話す。

 ぺんてる支援を表明したプラスはコクヨと同額での買い付けを発表すると、コクヨはすかさず3750円に引き上げ、11月下旬には4200円に値上げした。ただ、ぺんてる株主の理解を得るのが難航したため、結果は過半数目前の45.66%(議決権ベース、12月12日時点)にとどまり、戦略の練り直しを迫られることとなった。

 一方、プラスは買い付け目標の下限である20%を超え、約30%(持ち分比率)の取得に成功したと発表。ぺんてる支援の株主を合わせると過半数に達し「金額の多寡でなく、ぺんてるの存在意義を(株主から)認められた結果だ」と強調。コクヨのもくろみが失敗に終わったと非難した。

 プラス陣営が約30%の株式を取得したことで両陣営の争いは持久戦に入る可能性がある。ぺんてる株は取締役会の承認がないと譲渡ができないため、コクヨは取得した株式の譲渡を承認するようぺんてるに求める予定だ。ぺんてるが拒否した場合は、臨時株主総会の開催を求めて現経営陣を一新することも検討する。

 コクヨは過半数取得には失敗したものの、買い付けを継続してあくまでも過半数を目指す考えで、それまではぺんてる側の動きを静観する状態が続きそうだ。

 岩井コスモ証券の清水範一アナリストは「ぺんてる株は非上場なので打つ手が限られている。コクヨはまだ譲渡を決めていない株主に説明を尽くして理解を得るしか手がない」と話した。

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