国内のIT企業が再編に動いた1年となった。ヤフーの親会社Zホールディングス(HD)と、無料通信アプリを展開するLINE(ライン)は12月、経営統合で最終合意した。インターネットの検索サイトと会員制交流サイト(SNS)でそれぞれ圧倒的な知名度を誇る国内ITの雄は、勢力を伸ばす米中の巨大企業への危機感から統合を決断した。
ZHD親会社のソフトバンクは急速に規模拡大を進めている。ヤフーは11月、ネット衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)を約4000億円を投じて子会社化した。型破りな言動が注目されたゾゾ創業者の前沢友作氏は社長を退任した。
ヤフーとLINEが抱える利用者は国内で計1億人超に上り、通販や金融といった幅広いサービスも担う。公正取引委員会による独占禁止法上の審査などを経て、来年10月までに統合を完了させる計画だ。ZHDの川辺健太郎社長とLINEの出沢剛社長は統合の基本合意を発表した今年11月18日の記者会見で、競争力の源泉となる人工知能(AI)と利用者データの重要性を強調した。
検索の入力項目や通信アプリの利用履歴をAIで分析すれば、利用者の好みや欲しいものが分かり、広告を示したり商品を提案したりできる。川辺氏は「日本から世界をリードするAI企業になりたい」と語った。
ネットのビジネスは、利用者が多いサービスにデータや資金が集まり、さらに便利になる循環が生まれる。
だが出遅れると収益力の差は広がる。米国のグーグルやアマゾン・コムだけでなく中国企業の台頭も著しい。「アジアで成長する」(出沢氏)戦略を描くZHDとLINE。海外で勝負するにはぎりぎりのタイミングと判断した。
さまざまな企業が参入するスマートフォン決済で、両社は「ペイペイ」と「LINEペイ」を手掛ける。連携すれば利用者数で他を圧倒するため、事業者の再編につながる可能性もある。