2020 成長への展望

セブン-イレブン・ジャパン社長・永松文彦さん

 ドミナント戦略 あり方変える時に

 --2019年は多くのことがあったが総括を

 「これまではコンビニエンスストアを消費者に受け入れられるようにしようとやってきた。それで今があると思っているが、少子高齢化や働き方改革、IT社会など、いろんなことが変化している。今までのやり方が通用しなくなっていて、われわれの対応スピードも遅れたことが表面化した。コンビニは業態としてはニーズに合っているが、フランチャイズという部分では2万店を超える中で、コミュニケーションのあり方でパイプの目詰まりのようなことが起きた」

 --東京五輪・パラリンピック以降の日本経済は

 「五輪では日本全体の高揚感は高まり、消費が喚起されるのではないか。だがその後は厳しい局面が出てくるのではないかと感じている。大きなイベントがあった後の段階では厳しくなるのではないか」

 --「7pay(セブンペイ)」の問題があったがキャッシュレス対応は仕切り直しか

 「まずはグループで持っている電子マネーのnanacoを広げていく。セブン-イレブンでは23%の顧客がnanacoを活用している。nanacoの活用でより有利になるキャンペーンをもっと打っていきたい。ペイなどの新たな取り組みは、問題からまだ間もない現状では考えていない」

 --加盟店支援のための行動計画だが、24時間営業ではない時短営業の店舗をどこまで増やすか

 「2月の段階で132店舗が時短店舗になる予定。テストしているのは380店舗くらい。テストは延長しても6カ月なので、東京五輪までにはだいたい500店舗になる」

 --時短店舗は地域事情や加盟店オーナーの意向があれば認めるのか。そうでない部分もあるのか

 「一番大事なのは、オーナーが利益を上げられるようになるか。そういうと時短営業をやめさせているように言われるが、そうではない」

 --地域を絞って集中して出店する「ドミナント戦略」もオーナーを苦しめているとの批判がある

 「店舗数が今の半分だったらどうか。店舗数が増えていることで、認知が高まって商品もいいものが供給できるようになる。家のそばにセブンがあり、会社の近く、通勤途中にもセブンがあると店に寄る頻度が高まる。そうすることで店舗当たりの売り上げが上がってくる。競合対策の側面もある。ドミナントすることで競合が出店しにくくなる。ただ、他のチェーンと合わせて5万店舗を超える現状では、あり方を変えないといけないと思っている」

【プロフィル】永松文彦

 ながまつ・ふみひこ 東京経済大卒。1980年セブン-イレブン・ジャパン入社。業務本部長、副社長などを経て、2019年4月から現職。東京都出身。

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