石油に逆風、国内の洋上風力に参入
--2019年を振り返ると
「不透明極まりない年だった。米中の貿易摩擦、日韓関係の悪化、英国の欧州連合(EU)離脱のブレグジットと先の読めない状況で、伴って世界経済が停滞した。それが資源需要が低下するとの予測につながり、石油や銅といった資源価格が下落し、当社の業績を押し下げた。さらに中東情勢でも、6月のタンカー攻撃、9月のサウジアラビアの石油施設攻撃など、原油供給途絶の危険もあった。同時に国内では台風などの自然災害が多く、安定調達や調達先の多様化などが改めて求められ、エネルギー安定供給の責任の重さを考えさせられた」
--今年はどんな年に
「2020東京五輪・パラリンピックがあるし、日本全体は明るい年になる。五輪は景気を浮揚させる。特に人が大きく動くことが、ガソリンを中心に石油製品そのものの需要を増やしていくことになる。五輪に海外から多くの人が来るが、東京集中だけではなく、せっかくだから全国いろんなところを回るというプラスアルファの観光需要につながっていく。当社も五輪のゴールドパートナーとして盛り上げに最大限協力する」
--JXTGグループにとっては
「20年は極めて重要な年だ。18年に40年をターゲットにした長期ビジョンを策定した。そのなかでは『40年には石油製品の需要は半減』と想定し、今後いかに生き残るかが大きな課題になっている。今年度で終わる3カ年の中期経営計画は、経営統合による基礎固めという位置付けだが、現在策定中の来年度からの新しい中期計画の3年間では、生き残りのため(主力事業の石油関連以外の)成長事業を実際に立ち上げていかねばならない。既に石油化学、発電など5分野で展開することを決めたが、今年度までの基礎固めから、どうやって成長分野に打って出るのかが重要になる」
--注力する事業は
「気候変動問題への高まりによって、石油など化石燃料への逆風は強まっていることもあり、低炭素循環社会の実現に向けて、リサイクルや自動車の電動化に対応した事業を重視している。リチウムイオン電池からリチウムを再生させたり、廃プラスチックのケミカルリサイクルなどを進めるほか、モーター向けの潤滑油など新しい事業を育成していく。発電事業でもバイオマスなどの再生可能エネルギーを中心に取り組んできたが、昨年は台湾での洋上風力発電プロジェクトへ参画した。ここでのノウハウを活用して、国内の洋上風力にも本格参入していく」
【プロフィル】杉森務
すぎもり・つとむ 一橋大商卒。1979年日本石油(現JXTGエネルギー)入社。JX日鉱日石エネルギー(同)社長、JXTGエネルギー社長を経て、2018年6月から現職。石川県出身。