日本工作機械工業会は9日、令和2年の工作機械受注目標について、ほぼ前年年並みとなる1兆2千億円と発表した。中国での電子部品関連特需が始まる直前の平成28年の水準に相当する。中国経済や中東情勢などの行方が見通しづらく、輸出などの外需は低調に推移する一方、内需は少子高齢化や人手不足による省力化目的の設備投資が堅調で、半導体分野では第5世代(5G)移動通信システム関連の設備投資が見込めると判断した。
前年の元年実績は1兆2千億円前後のもよう。昨年9月公表の修正目標となる1兆2500億円を下回ったとみられる。中国経済減速や米中貿易摩擦による世界的な設備投資の抑制が響いた。特に元年8月以降は単月の受注実績が、好不調の境目となる1000億円を下回っている。
同日、東京都内で開いた新年賀詞交歓会で、飯村幸生会長(東芝機械会長)が明らかにした。今年の工作機械受注について、飯村会長は「今年前半には底を打つだろう。外需では中国と関係が薄い国や地域などから徐々に持ち直しそうだ」と語った。
今年12月に同工業会が創立70周年を迎えることから、飯村会長は、将来における工作機械業界の課題と解決策をまとめた長期ビジョン「工作機械ビジョン2020」の改訂版となる「同2030」の策定に取り組む考えも明らかにした。