街対街の戦い ターミナル中心に展開
--関西圏に店舗を多数展開する「関西ドミナント化戦略」の進展は
「都市型商業施設では、2017年にセブン&アイ・ホールディングスから取得したそごう神戸店(神戸市)と西武高槻店(大阪府高槻市)の屋号を昨年10月、それぞれ神戸阪急と高槻阪急に替え、阪急うめだ本店(大阪市)を中心としたウイングを東西に広げた。14年6月に経営統合したイズミヤのカナート洛北(京都市)も昨年12月、洛北阪急スクエアとして増床・改装し、今年以降は千里阪急(大阪府豊中市)の建て替えに合わせて周辺のまちづくりを行政と連携して進めるなど、ターミナルを中心に拠点をつくっていく」
--イズミヤの店舗は業績面で苦戦している
「厳しい情勢が続く総合スーパーを、イズミヤの食品スーパー部門とドラッグストアチェーンと協業するヘルスビューティーケア部門、ショッピングセンター化を進める部門に分社化した。イズミヤ・阪急オアシスの食品スーパーと都市型商業施設の2本柱で利便性と楽しさの両面を打ち出し、阪急阪神グループが展開する共通ポイントサービス『Sポイント』を使える店舗を増やして顧客のデータ管理も共通化していく」
--大阪市内の百貨店や商業施設は訪日外国人客(インバウンド)を中心ににぎわっている
「数年前からインバウンドを重要な顧客と認識し、会員制交流サイト(SNS)を通じて、最新情報の宝庫である阪急うめだ本店から海外に情報発信をしている。免税売り上げの大半を占める中国人客を積極的に呼び込むためキャッシュレス決済も充実させた。スマートフォンでの免税手続きの導入は、百貨店としては画期的な取り組みだと自負している。梅田地区は商業施設が増え、JR大阪駅北側の大規模再開発『うめきた2期』も動き出し、パワフルな吸引力を持つエリアになった。これからは店舗対店舗ではなく、街対街の戦いとなる」
--イオンが昨年11月、英ネットスーパーのオカドグループ子会社と電子商取引(EC)で提携した
「この話題は注視している。われわれは生鮮食品や強みであるデパ地下食品を扱う宅配サービス『キッチンエール』に取り組んできた。発注翌日に届くクイックレスポンスでやっているが、デジタル化を進めブラッシュアップしていく。ECでは化粧品も扱い、午前中に注文を受け、夕方に店舗でお渡しするネットとリアルを融合した使い方が好評を得ている。関西ドミナント化戦略には欠かせない顧客接点となるECは今後も強化していきたい」
【プロフィル】鈴木篤
すずき・あつし 関西学院大卒。1980年阪急百貨店(現エイチ・ツー・オーリテイリング)入社。阪急阪神百貨店執行役員、同取締役などを経て、2014年4月から現職。大阪府出身。